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ALO編
episode5 旅路、影妖精領2
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ム……そして幾つかの、伝説級(レジェンダリィ)の武器さえもを手にすることが出来たカラクリだった。


 ◆


 ゆっくりと宿を出て、しばらく。

 辺りはだんだんと夜の闇に包まれていき、古代遺跡がその暗闇の中に佇んでいるような、そんな時間帯。いくら夜目が利く影妖精(スプリガン)とはいえ、現実世界のほうがさすがに平日の午後だ、道行く人の数は少ない……が、その目は皆、ぎらぎらと光っている。

 (ま、平日の昼間っからログインしている様な奴らだ。廃人レベルとして、恥ずかしくない強さとスキル熟練度の連中ばかりだろうな……)

 だが、引く気はない。

 何せ俺だって、負けず劣らずの立派な廃人だ。
 いや、二年間ログインしっぱなしという実績からすれば、もう廃人通り越して死人レベルだろう。

 苦笑を噛み殺しながら古代遺跡地帯から離れ、石畳の道をゆっくりと歩く。革のブーツは、あの世界に比べればそのグリップが若干心もとないが、足音を消す分には十分だ。暗い夜道で、俺の進む気配を限界まで隠してくれる。

 (確か、ここか……)

 行き先は、一軒のNPC家屋。店でもない、何の変哲もない家だ。俺が普段通りのプーカの姿で入っても、そしておそらくは他のスプリガンが入ってもなんのイベントも無かっただろう、どこにでもあるようなNPCの家。

 (だが、……)

 入ってすぐに、ストレージから取り出した薄布(マント)を体に巻き付ける。同時にマントの前留めの部分をクリックするとウィンドウが開き、幾つかの選択肢が現れた。変身後の種族の選択画面だ。

 そして幾つかを試してみると。

 「……あんた、火妖精(サラマンダー)なのかい!? こんなところに来て、大丈夫なのか!?」

 変身した瞬間にかけられる、NPCの驚いた、それでいて潜められた声。

 (……ビンゴ。……にしても、このゲームの製作者はいい性格をしているこった。敵対種族として進入制限をしてしまえばこの領内には入れなくなるのに、結構な量の「他種族用」クエストが用意されてる、なんてな……)

 クエストの発動条件。それは特定のアイテムやこなしたクエスト、特定のスキルの熟練度、あるいはパーティー人数など非常に多岐にわたる。それらをいちいち検証していくのは非常に困難であり、だからこそこういった大規模MMORPGにはそれを検証する偉大なる暇人、もとい、先人が情報サイトを作り出す。だが流石に、他種族領でのあらゆる種族でのクエスト受注検証、なんて暇なことをする人間は、俺くらいだったらしい。

 俺だって、この《奇術道化の影》を手に入れなければ試そうとは思わなかったろう。


 ……まあ、とにかく。
 俺はまた、こうして新たなクエストの依頼を取ることに成功したのだっ
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