第七十二話 ミラニの知り合いもやっぱ強えんだな
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ったが、それが本当なら、つまりはミラニと同等以上ということだ。
ハッキリ言って、闘悟が今まで出会った人物の中で、ミラニを超える者とは会っていない。
魔力量も実力もミラニは一流だ。
達人級であるミラニと同等ということに、闘悟は少し驚いた。
「この一回戦は恐らく彼が勝ち残るだろう」
ミラニの言う通り闘悟もそう思う。
他の者達に視線を送るが、彼を越えるような実力者には見えない。
だが、これはバトルロイヤルだ。
個人戦ならともかく、あんなふうに目立ってしまえば、周囲の意気(いき)が自分に集中してしまう。
五人なら何とかなっても、他の二十六人が一斉に向かって来ても捌(さば)けられるのか。
それがヤーヴァスの試練になるのかもしれない。
「ん?」
「どうした?」
「いんや、何でもねえよ」
「そうか」
闘悟がそんなふうに声を漏らしてミラニに聞かれてしまったのにはわけがある。
それは、何となく視線を向けて気になる点を見つけてしまったからだ。
だがそれはヤーヴァスに関してのものではなかった。
ふと闘悟は真剣な表情をしてある一点を見つめる。
気になっている点、それは参加者ではなく観客席にいる、ある人物のことだ。
恐らくこの場で気づいているのは闘悟一人だろう。
その人物は厳しい目つきでヤーヴァスを見つめている。
その瞳には明らかな敵意が宿っている。
闘悟はもう一度その人物に視線を送る。
女の子だ。
だが、それだけなら闘悟はさして注目することは無かった。
ギルド登録者なんてやってると、他人の嫉妬や敵意を受けることはよくある。
有名であればあるほど、それは比例して大きくなる。
闘悟も少なからずそういった対象として受け止められていることも理解している。
だから、女性の視線に気づいたところで普通なら流すはずだった。
だが、それが知り合いだったならどうだ?
ましてやその知り合いが、普段から机を並べて生活している人物だとしたら?
あれは間違い無い………………メイムだ。
そう、薄い紫色のショートツインテール。
闘悟もよく知っているメイム・ウォーレスその人だった。
普段はうるさいくらいの元気のいい明るい女の子だ。
それがあんな憎しみを込めたような表情をしている。
余程のことが、あのヤーヴァスという男とあったのかもしれない。
正直言ってあんな顔をする彼女は見たくなかった。
一体何があったのか闘悟には分からない。
視線をメイムから逸らして軽く溜め息を吐く。
クィル達には言わない方がいいな。
闘悟はそう思い心の中に留(とど)めておく。
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