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東方小噺
種族魔法使いと職業魔法使い
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「眉根にシワ作ってどうしたのよ。私が怒られてるみたいでいい気はしない」
「怒らないわよ。まあ正直、泥棒はロクな奴じゃないと思っているわ」

 図書館の片隅、魔道書に囲まれた空間の中でこの部屋の主、パチュリー・ノーレッジはそう言った。
 カコン。ルークがポーンの首を掻き切るようにその駒を叩き落とす。
 
「偉く唐突だな。困り事なら相談に乗ろうか」

 ビショップが動き代わりのポーンが奪われる。取ったばかりのポーンを指で回しながら魔理沙が言う。
 パチュリーはその言葉に眉根を寄せ、本に落としていた視線を盤上へと向ける。ページを一つ捲り、自らのポーンへと手を伸ばす。

「言った私がバカだったわ」
「そうか。流石の私でもバカを治す薬は持ってない」
「そういう意味ではないのだけれどね……」

 淡々と、怒りもせずパチュリーは呟く。盤上を難しい顔で眺めている魔理沙を一目見、本に視線を落とす。喉が渇いたので紅茶を飲み、温くなっていることに気づき手を叩く。

「誰か」
「はいはーい。今変えますねー」

 この図書館に住み着いている小悪魔。小間使いとして使っているそれが新しいポットを持ってくる。それをそぎ直し、パチュリーは一口。蒸した茶葉の匂いと舌に感じる僅かな苦味、そして後から来る酸味と流れていく清涼感。喉を焼く熱さと湧き上がってくる芳醇な香り。レモンティー。熱いそれをふー、ふーと息をかけて一口、そして二口。熱気が眼鏡を曇らすのも気にせず。

「……」

 頭を使っているからだろう、少し甘さが欲しくなりパチュリーは砂糖を落とす。ブロックを二つ。丁度いい、ではなく甘い、とハッキリ感じるくらいの方が頭に巡るのだ。

「そう言えば知ってるか。こないだその、あれだ、何とかって寺。あそこの風呂が吹っ飛んだらしい」
「ああ、話には聞いたわ。それと地底の主の妹が変態だとか」
「らしいな。文の奴もまだ見つからないし、全くどうなってるのかしらね、と!」

 迫ったパチュリーのルークを魔理沙のナイトは躱す。さてどうするべきか。パチュリーは考える。魔理沙のナイトはパチュリーのルークを射程においた。回避してもいいが、そうすれば陣地の中に入ってきてしまう。
 だがこれも既に読んでいた手だ。こちらのポーンを一歩前へ。ほうっておけば後二つでこのポーンは即席クイーンだ。

「げ。どうしようかしらこれ。頭は使いたくないぜ」
「パワーではどうしようもないわよ。そう言えば、こないだ言ってた魔術の方はどうなったの」
「うーん……ああ、あれは特に問題はないかな。その為に今日ここに来たわけだ」
「つまり、また盗りに来たのね」
「借りてくだけだぜ。私はちゃんと真正面から入ってきたお客さんだ、っと」
「戯言を。手が欲しいのならアリスの方にでも行き
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