TURN68 連合軍の反撃その八
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「ずっと辛い戦いでしたが」
「そうですね。このスエズも危うかったです」
「ですがそれがですね」
「はい、ドクツ軍はモスクワで破れました」
これが大きなターニングポイントだった。
「それで北アフリカ方面でも動揺が起こっています」
「ドクツ軍に動揺はないですが」
精鋭である彼等がこの程度で動揺する筈がない、しかし北アフリカにいるのは彼等だけではないのである。
「イタリン軍ですね」
「彼等が戸惑い動きが鈍い間にです」
「それより前にですね」
「そうです。ドクツ軍を全力で叩きます」
脅威である彼等をだというのだ。
「今スエズにいる二十個艦隊で」
「数で押し切りますか」
「修理と補給の態勢も全て整っています」
スエズにはただ艦隊を集めているだけではない、修理の予算や補給物資も全て、アフリカ中からかき集めてきたのだ。
言うならばエイリスのアフリカ方面の総力を挙げて北アフリカのドクツ軍三個艦隊を叩くというのである。それがモンゴメリーが今言うことだ。
「女王陛下が決断されました」
「決断出来る状況になりましたね」
「そうです。では明日出撃します」
そしてだった。
「北アフリカを奪還します」
「やはり数ですね」
「はい、戦争は数です」
モンゴメリーもイギリス妹に話す。
「数と補給さえあれば勝てるものです」
「戦術以上にですね」
「だからこそエイリスはナポレオンにも先の世界大戦にも勝ってきました」
国力、それがあったからだというのだ。
「国力があったからこそ」
「そしてこの戦いでも」
「最後にものをいうのは国力です」
エイリスとドクツを比べればまだエイリスの方がかなり高い、太平洋、インド洋の植民地を全て失ったがまだアフリカがあるからだ。
そしてそのアフリカの総力を結集してだというのだ。
「勝ちましょう」
「では明日に」
「はい、ドクツ軍を攻めます」
エイリスは北アフリカから反撃に移ることが決定していた。そしてそれは明日に迫っていた、ドクツ軍はこの方面でも危機に陥ろうとしていた。
ロンメルもそれは察知していた。それで港においてプロイセン兄妹にこう言っていた。
「間も無くエイリス軍の大軍がここに来る」
「二十個艦隊だよな」
プロイセンは鋭い目でロンメルの金色の目を見ていた。
「それで来るな」
「これまでは十個艦隊だった」
ロンメルはスエズにいたエイリス軍の数も述べた。
「しかもその相手はイタリン軍にも向かっていた」
「だから俺達はその隙に機動力を使って戦えたがな」
「だがおそらく今度は違う」
「イタちゃん達はあんなだからね」
プロイセン妹は自分の右をちらりと見た。そこにはイタリアとロマーノがいるが。
彼等はがたがたと震えながらお互いに言ってきた。
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