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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
終章
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んな言葉が出た。



市街電車の寂しい駅に降り立ち、車掌に切符を渡す。この駅に駅員はいないから。そしてだだっ広い道路に出る。店はなく、民家も、街灯すらまばらな、暗い路。ウシガエルの呟くような鳴き声だけが、暗がりを満たしていた。
ランドナーは居酒屋の前に置いてきた。思ったより呑んでしまったし、柚木にも会ってしまった。今の状態で二人乗りはやばいと思ったから。
「すごい、星だね」
「この辺はずっと、こんな感じだよ。…時折、ウシガエルの轢死体が落ちてるから気をつけて」
「もう、姶良!」
「僕、夜目が利くから」
僕はさりげなく、柚木の手を取った。柚木は軽く握り返してきた。夜目は利くけど、柚木の表情は見えない。
「宿とか、とってるの?」
柚木が軽く首を振る。
「……そうか」
家族がびっくりするだろうなぁ…満天の星空を見上げていたら、カエルの轢死体らしきものを踏んだ。
柚木には、言わなかった。




ご主人さまに、叱られた。
柚木のメール隠したり、着信切ったの、見つかっちゃった。


だって…だって…
自分じゃ、どうにもならないんだもん。
すごく、もやもやするんだもん。


いいじゃない。
柚木はご主人さまの頭を『くしゃ』って、できるじゃない。
ご主人さまと、手を繋げるじゃない。


『こっち側』は、私の領域。
メールも、電話も通さない。…通したく、ないのに。


柚木の声が近い。
ご主人さまによりそうように、歩いてる。


私の方が、物理的には近くにいるのに
とても深い、海の底から、船底を眺めているみたい。


いつかお話で読んだ人魚姫みたいに
私もいつか、遂げられない想いを抱いたまま
電子の塵になって、消えていくのかな……


ねえ、ご主人さま


『ここは、海の底、みたいです……』




(To Be Continued……?)

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