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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
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ゃん。
「見舞いに行ったり、メールのやりとりしてるんだよ。だけどな」
言葉を切り、ふいに声をひそめた。
「最近、メールが届かないんだと」
―――なんだと?
「どういう、ことです」
「八幡のメールが、杉野に届かないんだよ。杉野のメールは届くらしいんだが…携帯も、繋がりにくいってよ。不審に思った杉野が、いつもなんの気なく削除している『迷惑メールフォルダ』を開けてみると…」
「八幡さんのメールが、びっしりと?」
烏崎が頷いた。……おいおい、まじか。
―――杉野のとこもかよ。
「お前のビアンキ、どうだ。最近」
喉が、動いた。
「………僕にも、メールが届かない」
「あ?だれの?」
「柚木の…です」
迂闊だった。……僕は完全に、柚木側のシステムの問題だと思っていた。だって、他の人達からのメールは届いているんだから。
「で、でもこんな!ソフトが人をえり好みするなんて、それじゃ商品として成り立たないじゃないですか!!」
「商品…商品ね…」
烏崎は顎をさすりながら、何か考え込むように首をこくん、こくんと振った。
「なあ、俺達は、とんでもない勘違いをしているのかも知れないな……」
「勘違い…?」
「一応俺も社員だから、『M』に何かバグがあれば、社内で通知が回るんだ。実際、いくつか報告があった。その中に、『特定のメールが届かない』なんてバグはなかった…はず…あー、ダメだな俺。なんで今の今まで気がつかなかったんだ!」
―――なんだよ一体!!
「そもそも、お前らの『M』って『商品』か?」
「そっそれは…!」
『商品』じゃない。僕も杉野も、紺野さんからMOGMOGを貰った。買ったのではない。
「俺達は、お前らが持っている『M』は、今出回っている『修正後』の『M』のプロトタイプだと思い込んでた。けどそれ、本当にただの『M』か?」
「そんな、僕が聞きたいですよ!」
「うーん…開発部の連中、まだ何か隠してるな」
「隠してるって…同じ会社内のことでしょ?なんで?」
「『あの件』以来、営業と開発部は冷戦状態だ。まともな情報共有が出来る状態じゃねぇよ。俺は、とばされた事が免罪符になって紺野ともやりとりはある…だから知ってるんだが、今回の件じゃ、あいつが一番怒ってる。あいつ怒らせると、まじ怖いな」
知っている。あの人は、怒らせると恐ろしい。
「とにかくだ。怒ってるからって、単なる協力者のお前を危険に巻き込む男じゃない。紺野が何も言ってこないなら、大したエラーじゃないんだろ。もしもエスカレートするようなら、紺野に相談しときな。…大した役に立てなくて悪いな。俺に分かるのはそこら辺までだ。開発部の連中が考えてることは、分かんねぇ。…さて、難しい話はここまでだ!今日は呑め!!」
「は、はぁ…」
猪口に注がれた
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