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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
終章
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た連中は、基本的に全員、いい人ばっかりだった。
いい人たちを操って、狂わせて、凶行に走らせた『悪い奴』が、背後にいたんじゃないか。果たしてこの件は本当に、全部終わったのか。少なくとも烏崎は、黒幕じゃない。
「一つ、聞いてもいいですか」
「………答えられる、範囲でな」
守秘義務か。この人も一応、大人なんだな。
「烏崎さんの左遷って、『あの件』絡みですか」
烏崎は、ひた、と前を見据えて指を組み直した。
「そう、とも言えるし、そうでない、とも言える…か」
そう言って、不意に僕に向き直った。
「あの件、紺野からはどこまで聞いてんだ?」
「ほとんど、何も」
「ふん、そうか。…あの件は結局、表沙汰にはならなかった。姶良も関係者だから、知ってるよな」
「……はい」
「『表沙汰にはならなかった』だけだ。…水面下では、色々、な」
「じゃ、やっぱりあの件のせいで?」
「いや、たいして関係ない。俺は、切られたんだよ。役立たずとして。……あの人に」
「あの人?」
―――やっぱりだ。黒幕は、いた。
「イニシャルトークでいくか。あの人は『I』、あの製品は『M』。…『M』は、あってはならない状態で世に出された」
「不良品…?」
「それ以前の問題。…詳しいことは、やっぱ言えないな」
そう言ってお猪口を口に運んだ。…自分を口止めするように。
「それは…ミスではなく『あえて』為された。誰が悪い、というのは酷だな。俺達には俺達の、開発部には開発部の言い分があった、わけよ」
「『M』は、不良品なの?」
僕は身を乗り出した。烏崎は首を振った。
「んにゃ、改善された」
「今は改善されたかもしれないけど、最初に出荷された『M』は不良品?」
「改善されたんだよ」
「意味がわからないよ」
烏崎は、声をひそめた。
「………こっからは、マジでやばい話なんだよ。……既存ユーザーへの改善は、為された。ただし、気づかれない方法で」
「………それって」
「あーもー!これ以上は限界っ無理っ社会人生命的に無理っ」
……無理なようなので追及終了。
「で、僕らを誘拐するように指示したのはその『I』?」
「あの人は、そんな細かい指示はしないさ」
烏崎の表情に、険が出てきた。
「自分はそんな、危ない橋は渡らない。俺達が受けた指示は、たった一言だ。いつもそう。たった一言。んで、必ず最後にこう付け加えるんだ。『方法は、君たち、自身が考えるんだ。君たちが、真に成長を、とげるためにね。私は、君たちを、信じているよ』ってな」
妙に言葉を区切るクセは、『I』とやらの物真似らしい。
「信じているよ、君は優秀だ、必ず、君たちは成功する…そんな事、言われ慣れてない俺には、麻薬みたいに響いたぜ。『I』はそうやって、気持ちの弱い奴らをからめとり、利用するんだよな。…今、考えれ
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