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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
終章
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み酒とか。横で巨体をクネクネさせるんじゃない。不快だ。
「ひょっとしてひょっとして、もうやっちゃった!?どゅふふ、どゅふふふ」
「…ねえさーん、地鶏のねぎまと、いかなごのくぎ煮。安納芋の天ぷらも」
絡み酒に付き合ってやるんだから、こっちも好きにさせてもらう。あとで請求書みてびっくりしやがれ。
「あー、俺も彼女欲しいなー。こっち来て純朴系の方言女子いねぇかなー、とか思ってたんだけど、こっちの女、結婚早い早い。可愛いのは全部ソールドアウトよ。事務所に売れ残りが1人、いるにはいるんだけどよ」
「……いんじゃないすか」
「ラジバンダリそっくりなのが」
―――ラジバンダリ。
「もうこのラジバンダリが必死。アトがないからな!すごい触ってくるの!お前にボディータッチされても『指太っ』くらいしか思わないっちゅーねん!こないだなんか駅前で待ち伏せしてたんだぜ!俺怖いから最近、この辺で時間潰してから帰るようにしてんだよ」
「……へー」
「……東京の事務所のデスクがさ、八幡なんだよ。俺が仕事の電話すると『すみませんすみません』ばっかり。ははは。…八幡ちゃん、可愛いよなぁ…」
「……美人さん、っすね」
ああいたいた、こういう奴。クラスに。好きな子に意地悪して完膚なきまでに嫌われて、取り巻きの女子にまで吊るし上げられて、家でこっそり落ち込む奴。
「…八幡ちゃん、俺の暴走についてきてくれたんだよなー…コレ、脈アリじゃね?どうよ姶良君、脈アリじゃね?俺にも桜前線到来!?」
「……ねえさーん、黒豚チャーシューと、つけ揚げ、チーズ入りのやつ。もろきゅうと冷やしトマトも。あと西の関、一本」

あるかボケ。

「おいおいスルーしないで聞けよー姶良ちゃーん。…ちょっとトシの差あるけど、意外と似合いだと思うんだよなー!ほら、俺背が高いし」
「……似合いなんじゃないすか」

いかにもダメ男に引っかかりそうなかんじだし。

「だろ!?だろだろ!?よし決めた!俺はこっちで戦果を挙げて東京に呼び戻され、八幡ちゃんを迎えに行くぜ!そして40代までに課長になって、八幡ちゃんと一男一女の幸せ家庭を築く!!待ってろよ、八幡ちゃん!5年くらい!!」

―――5年も放っておいたら別のダメ男に引っかかってると思いますよ、あの人。

「ていうか八幡ちゃんがこっちにとばされて来れば万事解決なのになぁ…すっげー失敗しそうな案件回そうかなぁ…」

このひと死んだらいいのに。

「あ、コレおいしそう。おねーさん、『太陽のタマゴ使用 極上マンゴープリン』ってやつ」
「おう、俺、『魔王』。ロックで」
おねーさんが、なにこの組み合わせって顔で厨房に引っ込んだ。




「……杉野、元気か」
『魔王』をカラカラ回していた烏崎が、突然大人しくなり、ぽつりと呟いた。
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