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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
終章
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の地元に姿を現すなんて、今度は一体何を企んでやがる!
「なーんか…悪目立ちする自転車引いてんな」
「なぜ、ここに?」
突き放すような口調で、ひたと目を合わせて問う。烏崎は…息をついて、小さく笑った。
「とばされた」
「とばっ……?」
「春の人事異動でな。今は…ここから10分の、九州支社勤務だ」
は……?言われてみれば、チャコールグレーの背広を小脇に抱えて、背中に汗染み作って立ち尽くす姿はまさに、仕事帰りのサラリーマンそのものだ。なにこの偶然。
「……呑んでくか?」
烏崎は、くいっと顎でそこら辺の居酒屋を指した。

―――は?呑んでく?誘拐犯と?サシで?

「で、でも……」
手持ちがない。
「おごらせろよ。……せめてもの侘びだ」



……というわけで、タダ酒に釣られて僕はここにいる。
「…でよ、白石は青森のほうにとばされたよ!あっちはまだ桜が咲いてんだぜ!?」
誰だ白石って。
「……はぁ。あの、地鶏のぼんじり頼んでいいっすか」
「おー、喰っとけ!んもう、最悪だよなー!俺馬鹿なことしたよ!…ま、でも示談にしてくれて助かった。社会人生命はギリギリセーフだ」
「……はぁ。鰹のたたき、おかわりしていいっすか」
「喰っとけ!もうじゃんじゃん喰っとけ!!」
「おねーさーん…地鶏のぼんじりと鰹のたたき、それと薩州正宗、追加」


誘拐騒ぎの際、突入してきた紺野さんに頭を下げられた。
『すまん!社内の下らない内輪揉めなんだ、こんなこと言えた義理じゃないんだが…なかったことにしてもらえないか。その…こいつも、思い込んで突っ走るところはあるが、悪い奴じゃないんだ!』
自分のために、学生の僕なんかに頭を下げる紺野さんを目の当たりにして、烏崎は、がくりと頭を垂れた。
『そう、だよな……お前が、そんなことするわけ、ないんだよな……』
どうやらこの2人は、互いに何か思い違いをしていて、それがこじれにこじれて、あの誘拐騒動に発展したらしい。詳しい話は、聞ける雰囲気ではなかった。

「こんな所で、どう販路作れっちゅーねん!あほか!てか社員8人しかいねえし、8時過ぎたら天文館の周り以外まっくらだし!!外に洗濯物干したら火山灰で真っ黒になるし!!なんだよここ!!なんだよAコープって!!なぁ姶良、お前こんなど田舎で、何を楽しみに高校通ってたわけ!?」
「……はぁ」
「ていうかさていうかさ、お前、高校の頃、彼女とかいた!?」
「……いません。今も」
「とかなんとか言っちゃって!!こないだの子はどうしたんだよ!?あれなんかイケそうな雰囲気だったじゃん!?」
「……どうでしょうね」

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「なにこいつ秘密主義!?ねぇ〜んオジサン気になっちゃうよ、どうなのねぇねぇ〜ん」
……最悪だ。サシで絡
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