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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
第五章
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っ……八幡てめえ!!」
僕は怯えて何も聞いてない振りをして、布団を頭から被った。僕、聞いてません。何も聞いてないからもう止めてください。お互い、本名叫び合うの止めてください。残ってるのは後ろでまごまごしてる大仏くんだけじゃないですか……。
もう心底げんなりだ。布団の中でため息をついた。あー、もう。早く来てくれ、紺野さん。

「ははは、そこまでだ!馬と大仏!!」

今度は杉野が吼えた。これ以上事態をややこしいことにする前に布団に引っ張り込もうとした僕の手を掴み、何故か謎のウインクを返す。何だ、今度は何を思いついた?
「君たちの名は覚えたぞ、烏崎と、八幡さん!!」
「っち、聞かれたか!!」
聞くわい。
「ふっ、でもそんなことはどうでもいいんだ。ここにいる姶良くんが、たった今!!紺野さんにここの居場所を送信したのさ!八幡さんのスマホからね!!」
ばっ……杉野てめぇ!!
「てめ、八幡!お前なに人質にスマホ貸してんだよ!!」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
「君たちの万策は尽きた。さあ、今までのことを反省し、大人しく僕らを解放するんだ!!」
そう言って、もう吐きそうになって布団に包まっている僕から、布団をやさしくひっぺがして、微笑んだ。
「もう、大丈夫だよ。僕だって、やるときはやるんだ」
ほんと、やるなあ。いらんことばっかり。
馬が、ゆっくりと首を振った。
「……しゃあねぇ」
「……はあ、面倒っすね」
大仏が、そっと紐とアイマスクを取り出す。
「なっ…何をする気だ!!」
杉野があとじさる。…分からないのか、馬鹿か。
「アジト替えるか。紺野に見つかる前に」

……そうなりますよね――――!!
僕のファインプレー、全部無駄ですよね――――!!

「な、なんてことだ……!!」
杉野が膝から崩れ落ちる。
「なんて、非人間的な奴らなんだ!僕は、心から戦慄する…」


―――ぷち、と、僕の中で何かがはじけた。


「―――わい、馬鹿なん…?」
「……え」
「さっきから、何なん?僕がなんとか脱出しようと頑張ってるのを、片っ端から台無しにして、心から戦慄…?」
「いや、その…あれ?」
「心から戦慄したいのは、おいの方だがね!!わいの察しのわるかごと、ひったまがるわ!!こん、いらんこつしぃが!!」
「ひっ…ご、ごめんなさいごめんなさい!」
「お、おいおいちょっと、あの…か、可哀想だろ、そんなに責めちゃ」
「うぜらしかっ!!ぐらしか、ち云うなら、ないしてこげん、つがんねことするが!!だいたいなんね、こん…げんなか被りモンはぁ!!」
馬が割り込んで来たので、被り物を引っ掴んでひっぺがしてやった。眼光ばかり鋭く草臥れたおっさんが、鳩が豆鉄砲食らったような顔で僕を見ていた。
「なっ…何?何語?」
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