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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
第五章
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あの男…絶対、ジャイアン属性だ…」
ということは僕はのび太属性か。否定はしないけど…。
「ご、ご主人さま、どうしましょう…」
ビアンキが、弱々しい声で聞いてきた。
…迷っていた。このMOGMOGと接触し続けたら、ビアンキまで汚染されるかもしれない。でもこのまま逃がしてしまっては…。
僕は、半ば諦めをもって受け入れることにした。
「――しかたない。その子をそのままひきつけておいてくれ。すぐにハルが応援に向かう」
「は…はい!」
乗りかかった船だ。こうなったら意地でも、その腎臓病の青年とやらを助け出してやる。紺野さんに住所をメールしてディスプレイに向き直った瞬間、チャイムが鳴った。
「…なんだよ」
馬鹿馬鹿しい。もう着いたってことは、うちの住所も調査済みだったってわけか。すぐに出てやるのもなんか癪なので、ゆっくり起き上がって髪をかるく整え、のんびりとチェーンをはずす。
「――ずいぶん早いなぁー、紺野さん」
迷惑感たっぷりの声でドアを押し開けると、黒い背広の胸元が視界に飛び込んできた。
「…あれ、今日はスーツ…」
次の瞬間、視界をふさがれた。ぞくり、と背中を悪寒が走った。…なんだこの状況!叫び声をあげようとしたら、強引に口をふさがれた。
「…おい、アレ出せ!」
「え…でも…」
男と女が、軽くモメる声が聞こえた。…アレって何だよ!?
「いいから出せ!」
男が僕の頭を脇にかかえこみ、口を押さえていた手を一瞬放した。その隙に叫ぼうと大きく息を吸い込むと、吐き気を催すような薬品臭が口の中を満たし……そのまま………



――目を覚ます。

…なんで僕は寝ているんだ?
慌てて身を起こすと、じゃらりと鎖が滑るような音がした。
「――ご主人さま!!」
ビアンキの泣きそうな声が聞こえた。首を振り向けると、薄暗い部屋の片隅で、僕のノートパソコンだけが光を放っている。
「……ここは?」
「わ、わかんないです……オフラインにされちゃいました……」
ビアンキが、困ったように首を振る。ベッドから降りようとしたら、足首に鈍痛が走った。鉄の枷が、足首にがっちりと嵌っていた。
「…うわ、なんだこれ」
「知らない人たちが…」
「さっきの奴らか。…くそっ」
鉄の鎖をベッドのパイプに叩きつけた。きゃりん、と頼りない音がする。その音に反応するように、部屋の隅で何かがもぞりと起き上がった。
「……誰だ!」
自然と声が険しくなる。
「……君こそ、誰だい」
柔らかい声がした。…男の声というより、少し低めの女の声みたいな。目を凝らしていると、人影が壁に手を這わせ、電気のスイッチを入れた。急に強い光に照らし出され、つい目を閉じる。

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「――ようこそ…ってのは変かな。僕もここが何処なのか、分からないのに
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