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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
第四章 (2)
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「決まってるじゃない。取りに来たのよ」
「何を」
「ノートパソコン!忘れたでしょ」
「……あ、鍵、かけ忘れてたっけ?」
柚木は一瞬だけ振り返って僕の位置を視認すると、何かを投げた。…きらめきながら宙を舞うそれを、咄嗟にキャッチする。…新品ピカピカの、部屋の鍵だ。
「……なに、これ」
「あ、やっぱり知らなかったんだ」
僕の方も見ずに呟く柚木。……なに!?知らなかったって何だよ!!
「…姶良の部屋、名実ともに『部室別館』にされちゃってるよ。ポタリング部の連中に」
……なに――――――!?
ちょっと待て、どういうことだそれは!
あいつらは、僕がいる時にどやどや入ってきて、Wiiを占有して一晩遊びほうけて食料庫を漁り、飯を出させ、酒のストックがないことについてぶぅぶぅ文句言いながらカントリーマァムとじゃがりこを全部食って雑魚寝して片付けないで帰るだけでは飽き足らず、僕の部屋の合鍵まで勝手に作って自由に出入りしてるのか!!
道理で、特売の日に買いためておいた『カントリーマァム お得用』が驚異的な早さでなくなるわけだ……
なんか分からないけど、これは僕、怒っていいシチュエーションだよな!?
……でも柚木なら、こんな状況でも余裕で僕をぶっ飛ばすのだろう……
怒りのやり場が見つからず、仕方ないので部屋の隅でうずくまっていると、柚木がことり、とリモコンを置いた。セーブポイントが見つかったらしい。
「ノーパソだけ持って引き上げるのも寝覚めが悪いから、帰ってくるの待ってたの。遅いから、勝手にご飯作って食べた」
「………!!」
ご、ご飯食べたですって!?信じられない、この子!
不在の人ン家に上がりこんでWii勝手に使ったばかりか、うちの台所事情が乏しいのを知ってて、ライフラインの食料まで荒らすなんて!!
君は農村を襲うイナゴの大群か!?
愕然としている僕の横を通り過ぎる瞬間、柚木が手の甲で、僕の背中をとす、と叩いた。
「……ばーか」
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……なんだか気になる仕草を残して、柚木はゆっくり僕とすれ違った。
静かにドアが閉まる気配を背中に感じ、肩を落とす。……今日の戦果を聞かずに帰ってくれたのだけは幸いだったな。さて、柚木にはどこまで話せるだろうか。
……今日の話から、特別なMOGMOGやら、透析患者誘拐疑惑やら、そんな物騒な話を取り除いて残るものと言ったら
紺野さんのきわどい猥談だけじゃないか……
仕方ない、紺野さんの猥談でも話しておくか。
……そう決めた瞬間、『いい右』を貰って血を吐きながら宙を舞う自分を未来視したような気がした。
一瞬、視界のすみに、ほわりと湯気が上がるのが見えた。もうそんなの無視して寝てしまおうかと思ったけれど、この上火の不始末で火事でも出すこと
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