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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
第四章 (1)
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今日は、ご主人さまにお客さまが来ていた。ユズキ。ご主人さまの拠点に来るのは初めてだ。ご主人さまは、普段と少し様子が違った。しゃきしゃきしていた。
電子の海を漂いながら、今日のことをゆっくり思い出す。
http//xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx区画で会った、識別名「かぼす」は、ユズキのMOGMOGだったんだね。ユズキとかぼすは、姿が似ている。私、ユズキ好き。かわいいって、何度も言ってくれるから。ご主人さまの次…くらいに好き。

ご主人さまが、こっちに向き直った。接続かな?
何か、本を片手に持ってる。

「ビアンキ、そっちに「お友達」って、いるのかい?」
お友達…既に情報を共有しあっているMOGMOGを、お友達って呼ぶ「決まり」になっているから…私はもう、沢山の「お友達」を持ってる。
「はい、沢山いますよ?」
「仲間はずれには、されてない?」
仲間はずれ…深刻なバグを抱えたMOGMOG個体を見つけたら、私たちはその個体を回避するようにプログラミングされている。そして、今の私は深刻なバグを持っていない。
「はい、みんな、仲良しです!」
「そう、良かった。…仲間はずれの子は、いるのかい?」
仲間はずれの子…つまり、私が「回避」したことがある子のこと。
「あ、でも…まだ発売されて一月も経ってないし、そんなのいないか」
「いえ。います」
ご主人様は、軽く身を乗り出してきた。さっきの本と、私を見比べるようにしながら。私は、つい65時間ほど前に見かけた、「あの子」のことを思い出した。
「詳しく、お話しますか?」
「是非」
「3日くらい前になるんです。ご主人さまが「ロリータメイド陵辱の館」をご覧になっていたとき」
「そこは飛ばして…頼むから…」
「…そのサイトで、すごく、変な子を見つけたんです」

0と1がランダムに絡み合う電子の森のなか。たまにすれ違う友達と情報を共有する。そんなとき、私と「友達」は、一瞬手を取り合って、互いに解けあうようにして、相手の中のウイルス情報を取り込むの。終わったら「ばいばい」って分かれて、森のなかを飛び回って「木の実」(ご主人さまが設定したキーワードが含まれた情報)を食べたり、各サイトに残された、他のMOGMOGの「掲示板」を確認したり。ウイルスとか、スパイウェアが隠された森には、先に感染してひどい目にあったMOGMOGが「書き込み」をしてくれるから。
その日も森には友達がいっぱい来ていて、いろんな子と情報共有した。もう帰りたいなー、と思ったそのとき、「瘴気の沼」の方から、その子は来たの。
「瘴気の沼?」
「悪いウイルスに侵されたエリアのことです。そのサイトのリンク先の、さらに先にあるんだけど、みんなそこが悪い沼だって知ってるから、最近誰も近寄らなかったのに」
その子は
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