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くらいくらい電子の森に・・・(誰も死ななかった編)
第三章 (1)
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る目で遠巻きに眺めている柚木を視界の隅にとらえた瞬間、僕はおしゃれなアウトドア系キャンパスライフを諦めたのだ……。
<i264|11255>
「…あれ見た時は、みんな僕に内緒で『ラコステをかっこ悪くする会』でも結成したのかと思いましたよ」
「本気でやったとバレなくて幸いだったじゃねぇか…あれからうちのサークルじゃ、誰一人ラコステを着てこなくなったしな。嫌がらせとしては大成功だ」
鬼塚先輩は、またぼんやりと女子の溜まり場を眺めている。今日は春近く…というか冬真っ盛りの時期になるとコンビニで大量にリリースされる『イチゴ味の菓子』をみんなで買い込んで試食しているようだ。鬱全開の深く長いため息を吐き出すと、鬼塚先輩は半分潰れた煙草の箱を傾けてライターを出した。…やがて、ため息混じりの煙が辺りを満たす。鬱って、こうして伝染するものなのかな、と、ふと思った。
「…もう諦めろ。人には持って生まれた天分ってもんがあるんだよ」
ヤフオクで落としたというCNCのディレイラーを磨いていた武藤先輩が、なげやりに呟いた。
「あるんですよね…どうやっても変えられない『自分の核』みたいなもの…」
「最初にダサい核を入れられた俺達は、もう一生ダサいまんまかい、姶良よ……」
「イヤそれは、その……」
「あのオシャレな街乗りの連中に俺の核を移植すれば、奴らもたちどころにダサくなるのかい、姶良よ」
「いや、アメーバじゃないんですから……」
「姶良に絡むな、仕方がないだろうが!」
武藤先輩が、部品を布ごとガツンと机に置いて鬼塚先輩の方に身を乗り出した。
「『核』に優劣なんかないんだよ。盗んだバイクで走り出す奴がいれば、その盗まれるバイクを作る奴も必要だろうが」
「作ったバイクを盗まれて、俺らいいトコなしって感じだな、武藤よ……」
「あはは、うまい事言いましたね」
つい納得してしまい、武藤先輩に頭をはたかれる。
「そんなことより、次のツーリングコースの普請は終わったのか!」
「…はあ、叩き台程度ですけど」
ノーパソを取り出し、電源を入れる。武藤さんが僕の後ろに回りこんで、肩越しに覗き込んだ。
「ビアンキちゃんは元気か」
「…元気だけど起動時に画面覗くのやめてください。他の人の網膜が映ると、認証システムが混乱するんです」
武藤先輩をなだめて画面から遠ざけると、程なくしてノーパソが起動し始めた。最近少し人見知りが取れてきた(セキュリティ的には取れていいのか分からないが)ビアンキと武藤先輩が微笑み合っているのを尻目に、グーグルにログインしてマップを開く。程なくして、ラインと書き込みでいっぱいの地図が表示された。
「お、もうほぼ出来てるじゃないか!仕事速いな」
全画面表示にして、地図を縮小して全体を表示する。多摩川に沿って、弧を描くよ
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