サトリ妖怪と破戒僧
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残念に思っている心を抑え、私はその戸に向けて小走りで向かう。明かりの灯ったその場所へ。部屋に入った先、中にいた人間と視線がある。
「は、はだ!?」
気づかれたのならしょうがない。私は地を蹴り宙に舞う。
「とうっ!!」
「な……むも!?」
何故か私に気づいた人間に対し迎え討つは膝蹴り。私の膝が部屋にいたハゲの顔に突き刺さる。
「失礼ね。生えてなくて何が悪い。あなたは頭がツルッツルじゃない」
倒れ伏したハゲに対して仁王立ちで言い返す。気絶しているようで返事はない。しかし何故気付かれたのだろうか。
しかしながら修験者を一撃で倒すとは。私も捨てたものではない。もしやこの身には秘めた才能が。その猛りのままに構えを取る。
「鶴の構え」
「ここかー!!」
スパンと襖が開く。両手に棒を持った鼠である。全くご苦労なことだ。
「私のダウジングからは逃れられん。さあ、傷が浅いうちに捕まってもらうぞ」
「私は鶴。空を飛ぶの。地を這うねずみ風情が捕まえるとは生意気ね」
「地の底から来た奴が何を言うかー!!」
叫び向かってくる鼠。その歩みは愚直。余りにもまっすぐな、あとを考えない突進の様な体当たりダイブ。避けるのも容易い。
「だが、私には効かないわ」
ひらり。私は前へと跳ぶ。途端、さっきまでいた場所の左右と背後に天井から彼女の眷属たるたくさんのネズミが降って来る。
「な?!」
驚きに目を見開らいた鼠は既に目の前。バランスを取り直そうとした相手に向かって私は一息で踏み込む。無理矢理に振り抜かれた鼠のロッド、それを旋回しつつ避け掌底で打ち払う。そして更に一歩踏み込んだ私の大股開けた上段蹴が鼠の顎を打ち抜く。
「おま、裸で、それ、は……」
鼠が地に倒れる。ふ、甘い。罠など私に聞くと思ったか。丸聞こえだ馬鹿者め。
もっふもふの鼠耳をもふって勝利の余韻に浸る私。ダウジングロッドも拾ってちょっと自分をツンツン。そこに主を倒されたネズミが体当たりをする。あ、やば。
「ちょ、ちょっと漏れ……忘れてたトイレ〜!」
二つの屍を残しダッシュ。見つけたトイレへ駆け込む。
「ぁ……ふぅ」
出し切って満足である。さて、これからどうしたのものか。手にあるのは戦利品のロッド二本。二人も倒すとはやはり私には才能があるのでは。
「この寺を制覇しましょう」
呟き、ダッシュ。全裸でダッシュ。無意識で潜り込む。
「な、何だ!?」
「こ、古明地?!」
「は、はだ……がは!!?」
数多の部屋を私は駆け抜ける。ロッドが向くまま気の向くまま。空き部屋も人間がいた部屋も。何故か気づいた人間には鶴キックをお見舞いして走り続ける。
「む、お風呂ね
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