サトリ妖怪と破戒僧
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がる。石畳の冷たさが気持ちいい。凸凹した地面に自分のほんの少し出っ張った部分が擦れ、それもまた。
どうやら村へと続く階段のある門近くのようだ。視線を動かせば少し先には下へと続く階段とその先にある里の姿。ゴロゴロと転がり階段の一番上まで行って見下ろしてみる。長く続く段差。これを全力で駆け下りたらさぞ爽快だろう。飛べるかもしれない。
どうせなら里まで行ってみようか。行って駆け抜けようか。そんなことを思う。さぞ無意識である私を見れるものなどいない。人の中を全裸で駆け抜ける私。それなのに誰も気づかない。全てを晒しているのに、それが当然であるかのように周りは動き見放される。想像してみてぶるりと体が震える。いいではないか。背がゾクゾクする。どこまで出来るのだろうか。ああ、無意識って素晴らしい。
だがまあ、それは後にするべきだ。まずは一周しきってから。良く分からない使命感に立ち上がって私は続きを走り出す。だが少し走った途端、体が震える。下腹部が熱くなる。
「うぅ、トイレ……」
さっきのゴロゴロで冷えたのだ。お酒を飲みすぎた。漏れそうである。もし腹パンでもされたらチョロッとイってしまいそうである。
抑えるように股に両手を挟んで抑え内股に。もじもじと抑えるのはいいものの別の感覚に目覚めそうだ。どうしたのものかと辺りを見回す。一端寺の中に戻るべきだろうか。しかし一周が……
――ガサリ
「ん……わんわん?」
犬である。視線の先の暗闇の中、どこから紛れ込んだか子犬が一匹。舌を出してハッハと走り、草むらで止まる。そして近くの柱に向かって片足を上に。まさかと思うよりも早く子犬はぶるりと体を震わす。
シー……
「……はっ」
つい眺めてしまった。気持ちよさそうに立ちションする子犬を羨ましそうな目で見ている少女がいた。私だった。今は夜、私は無意識、ここは無人。別に問題はないんじゃないだろうか。ちょっと隅っこ行ってしていいんじゃないだろうか。子犬もしていることだ。
こいぬとこいし。こう並べれば似ている。一文字違いだ私もいいんじゃないだろうかというかすべきではないだろうかここにあの子がいるのも必然じゃないだろうかうんきっと。隅っこ行って片足上げて大きく股を開いて全部見せて……
「……いや、流石にそれは」
足を開きかけ、股を冷やす風にふと冷静になる。犬と同じはマズイ。何か色々失いそうだ。ちょっと背中がゾクッとして甘い息が漏れたのは秘密だ。
私が思う間に子犬は出し切ってさっさと闇に消えていく。誘惑を振り切って私も走り出す。内股で。
走るたびに振動が響いてくる。ああ、寧ろ我慢しきれず漏らすのも……
そう思った矢先、寺の戸が空いているのが私の目に入る。離れの別室だ。ちょっと厠を借りよう。
何故か
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