サトリ妖怪と破戒僧
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かれ、驚きに雫が私の口から溢れる。それは口を汚し私の肌を滑り、白い液体が体を伝わりこぼれ落ちていく。
「ああ、勿体無い」
「ふぁ…っ」
生暖かく湿ったものが私の体を滑る。下に溢れ床を汚すよりも早く、虎妖怪の舌が私から溢れた花の蜜を舐めとる。
肌を滑る少しザラザラした舌にチュクチュクと嬲られ、甘えた息が漏れる。ぞわりと産毛が総立ち、僅かに電気が流れるような刺激が背を走る。
「ちょっと、何するのもう」
「すみません。汚すと面倒なものでつい」
痺れを誤魔化すようにヘラヘラと笑う虎妖怪に憤りながら、私は背を向けお酒を呑む。微かに反応してしまったそれに気づかれないように。
存分に飲み終わり、口を話す。塗れた口ぶりを舌でねぶり喉を鳴らし、空の瓶を虎妖怪へ。
ああ、暑い。体の中に灼熱の楔を埋め込まれたようだ。見下ろした私の肌は白かった部分もほんのり全身桜色。手を当てれば熱を宿しているのが分かる。裸の胸に当てた手には、逸る鼓動の振動が伝わる。
ああ、暑い。湧き上がる熱に浮かされ窓際へ。戸を開け風に体を晒す。その涼しさに誘われ、外へ一歩。
「――何をしている!!?」
聞こえてきた声に振り向けば、所要があるとしばし席を開けていた鼠の姿。見開かれた視線は私を捉え、驚きに声を荒げる。何がそんなにおかしいのか。ただ涼んでいるだけなのに。私の体ごと貫くようなその熱い視線に思わず腕で体を抱く。ああ、そんな目で見ないで欲しい。熱がまた宿ってしまう。
「いいか、そこから動くな。いま連れ戻す」
「それは駄目。私は風になるの」
こんな熱いのだ。それくらいいいだろう。走り出した鼠から逃げ出すように私もまたよーいどんで走り出す。全裸で。
ドたん。音に振り向けば鼠が上司である虎妖怪に抱きつかれ転げていた。
「ま――お前今の自分の姿を!?」
「ふふ、それがどうしたの」
私は古明地こいし。無意識を操る能力者。見られたら困るものでも、見られなければ問題ない。私は無意識に全裸で潜り込む。
立ち上がろうとする鼠の視界から大股ダッシュで逃げ出していく。ああ、風が気持ちいい。
浮世の熱に浮かされるように、風に抱かれるように、私は寺の境内を走っていく。風が丘の頂きをくすぐり、若草がさわさわと足元をさする。
誰もいない夜の境内に一人。闇に肌を晒している。見るものだなどいないというのに、見れるものだなどいないというのに。疲れに息があれ、肌が赤く染まる。その開放感と背徳感が背を震わせ、悦楽の汗を流す。腰を下ろした石の冷たさが尻を直に冷やす。
取り敢えず一周しよう。良く分からない使命感に誘われ再び走り出す。運動がこんなに楽しいものだったとは驚きだ。
そこそこ走ったところで熱くなったので地面に転
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