第四十八話
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ヒースクリフの近くにいた幹部が、ボス攻略用のレポート用紙をキリトとアスナに渡す。
これはもちろん、コーバッツたちが死に際に俺たちに託してくれたものを纏めて、読みやすく編集したものだ。
「……彼らの犠牲と覚悟は無駄にしてはならない。新婚である君たちを召集するのは悪いが、是非とも君たちにも参加してもらいたい」
「もちろん俺たちは参加する。だけど、攻略組全員とアスナが天秤に掛けられた時、俺は迷わずアスナ一人を守る」
ヒースクリフの問いに即答するキリトの目には迷いもなく、見る者に、絶対に意志を曲げることはないだろうと確信させると言っても良いほどだった。
あの最低最悪のクリスマスの日、自暴自棄になって俺と殺し合いをしたキリトはもういないのだと……俺はそう実感した。
だが、その攻略組から弾かれるほどの不遜な物言いに、血盟騎士団の幹部の一部はざわめきを発したが、彼らを束ねるリーダーは面白そうに薄く笑っただけだった。
「アスナくんは……聞くまでもないな」
キリトの横で柔らかく笑うアスナにも、キリトと同様の覚悟が感じられたためかヒースクリフはあえて何も聞かず、アスナも何も言わなかった。
そのやり取りを見ると、何だかんだでこの団長と副団長も長い付き合いなのだな、と実感させられる。
「誰かを守ろうとする者は、得てして強いものだ。ボス攻略は三時間後、君たち三人の奮戦を期待する」
どうやら俺も、ヒースクリフの中では強いものに含まれているようで、最強のプレイヤーに言われるのであれば光栄なのだろう。
俺も攻略用レポートから顔を上げて頷くと、その場はこれで解散となった。
「三時間か……何しよっか?」
キリトに笑いかけるアスナの胸には、一つのペンダントがぶら下がっていた。
攻略の手伝いやら何やらで聞き逃していたものの、先程ようやく聞けたのだ……あの幽霊の少女、ユイの話を。
専門的な知識のことは俺にはあまり解らなかったが、ユイと呼ばれるプレイヤーは存在などせず、彼女はメンタルカウンセラーの仕事が出来るNPC……そんなようなものであったらしい。
あれから第一層に残っていた《軍》の一部の下級団員と一悶着あり、そこで記憶を取り戻したユイはカーディナルシステムに削除されそうになったものの、キリトの活躍によりアスナのペンダントの中にいるという。
……いる時間は短かったが、キリトたちは本当の家族になれたらしい。
さて、それはともかくとして、俺もキリトとアスナのことを待っていた用事を果たすことにしよう。
俺がわざわざこんなところで二人を待っていたのは、ユイの話を聞くためでもあったが、もっと大事な用事があったからだ。
「キリト。俺とデュエルしてくれないか?」
俺がシステムメニュ
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