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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第10話 「お、おの……れぇ!」
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のため、内側からなら簡単に破れるように(かすがい)が打ち付けてある場所を、一箇所だけ用意していた。
 その鎹を剣で横叩きにすると、閂が外れるようにあっさり壊れる。
 そのまま柵の脆くなっている所に体当たりすると、柵は破れ、俺の身体は砦の外の地面に打ち付けられた。
 腐葉土になっている泥が、自身の身体を黒く染める。

(だけどな……俺を嵌めた奴は許せないんだよ!)

 口に入った泥をべっと吐き出す。
 すぐに泥の中から立ち上がると、俺は木々に隠れるように下へと下り出した。

(今の俺には力がない……将軍のところにいってもあれだけの策をしたやつらだ、あの将軍じゃ絶対に勝てんだろうな)

 しばらく下りて振り返ると、砦の火が燃え盛っているのが見えた。
 あれではもうあの砦は使えないだろう。
 
 頭を振って下りようとすると、不意に足元の感覚が無くなった。
 えぐれたような斜面に足を取られ、俺はその場から転げ落ちた。
 十丈(三十三m)は転げただろうか。
 腕や足が木の枝で切り裂かれて血が流れている。
 俺は痛みを堪え、ふらつきながら立ち上がった。

(とう、たく……董卓軍の張とか言ったな。そうか……董卓。必ず、必ず復讐してやるぞ! 必ずだ! そして……)

 俺は木々にもたれながらしばらく歩くと、その光景に眼を見開く。
 それは何かが爆発したような痕。
 そして炭化した焦げ臭い物体。
 周辺には焼け爛れて死んだであろう、黄巾の兵らしき死体(もの)が散乱していた。
 ここは……そうだ、さっきあの櫓から見えた場所。

(郷、循……貴様もだ! 必ず……必ず俺の手で殺してやる! 俺が……オレガ!)




  ―― other side ――




 男はしばらくその光景を目に収めた後、全身を泥と血で黒く染めた身体をゆっくりと木々の中に消していった。
 その眼だけはどす黒く、鈍い光を輝かせながら――

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