黄巾の章
第10話 「お、おの……れぇ!」
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代わりにいっぱい出るものが重要なんです。
さあ、山を覆う煙木の計。
一重目の策が開始です!
―― other side ――
「しょ、将軍! 下を!」
「なんだ!?」
馬元義が高台から下を見ると、麓のあちこちから白い煙が立ち昇っていた。
「火計……? ばかなことを」
この山の木々は、全体的に湿っている。
火をつけようとしても、せいぜいが煙を出す程度で火の手が上がることなどほとんどない。
枯れ木が乾燥しようにも、土壌がしけって腐葉土となっており、すぐさま鎮火してしまう。
「放って置け。どうせ火がくることはない。油をまかれても燃え盛ることなどない。すぐにあきらめるだろう」
「はあ……」
「それより煙を吸い込まないように、高台の奥や木々の裏手に回って天幕などで防ぐように言え。朝になれば仕掛けるぞ」
「了解しました」
傍にいた兵が、伝令の為に散っていく。
ふん。ここで火計など、ただのバカのすることよ。
やはり官軍など、所詮は烏合の衆。
黄巾こそが世を統べ、民に安寧をもたらさねばならんのだ……
―― 盾二 side ――
「郷循様、いつ頃仕掛けるので?」
「そうですね……」
俺は空を見る。
月は天頂に差し掛かり、予定通りなら反対斜面では煙幕が焚かれている頃だろう。
問題はそれがどのくらいで山を覆うかだが……同時にやるならそろそろか。
こちらは、千の黄巾が眼下にある霞と翠の陣を見据えている。
たぶん向こうも合図待ちだろう。
「次に月が雲に隠れたら仕掛けます。ばらばらに仕掛けたら個別で殺されますから、固まったままで仕掛けますよ」
「わかりました」
俺の言葉に周辺の黄巾が身を寄せ合い、固まり始める
うーん……すまないね。
個人的には埋服・寝返りなどは大嫌いだし、桃香には教えられんけど……罠なんだわ。
だから……君らに殺された民衆にあの世で謝ってくれ。
俺が心の中で手を合わせると、空にはちょうどよい具合に月が翳りだした。
雲……ではなく、煙のようなもので。
うん。いい頃合だ。
「じゃあやるか……すまんな」
「はい……は?」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
突如発した俺の雄たけびに、周辺の黄巾の連中が唖然とする。
「せめて一思いにしてやる!」
俺は、AMスーツの脚力を全開にして、その場から飛び上がる。
AMスーツの人工筋肉が膨れ上がり、人間の三十倍を超える脚力による跳躍。
それは生い茂る木々の木の葉を突き破り、その場から数十メートルほど俺を飛び上がらせた。
空中で溜め込んだサ
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