ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼3
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「おおおっ!!?」
殺到してくる雪玉は、氷雪系……確か水妖精が得意とする攻撃魔法。だがそれはせいぜい「得意」というだけであって、他の種族にそれが使えないというわけではない。勿論鍛冶妖精のレプラコーンでも使用可能だが、水の系統の魔法の得意分野は、支援と回復だ。攻撃系……特に今の雪玉攻撃のように直線軌道スピード重視の呪文なら、威力、追尾性能いずれもそこまでの脅威ではない。
……が、
「おおあぁっ!!!」
それにも限度ってものはある。足が止まった今のこの瞬間に、眼前を埋め尽くすほどの寮が放たれればそれは十分な脅威であり、当然全部喰らえば致命傷になる。一瞬だけ背筋が冷え、……同時に、体感時間が減速を始める。
「くっ、そ!!!」
集中力がもたらす、独特の加速感。そのスピードを感じながら、地面を蹴って一瞬でのトップスピードへの加速、そのままダッシュで走りながら、殺到してくる雪玉を回避する。こんなもの、あの世界で殺到するモンスター群を避け続けた俺からすればさして難しい芸当では無い。
だが、それでも。
「ちっ!?」
幾つかの雪玉が、体を掠めていく。
低レベル呪文故の、「焦点の誤差」だ。本来単焦点型の追尾型魔法はこちらのアバターの中心点を過たず狙い撃ってくるのだが、低レベルの場合はその追尾性能の弱さ故にこの誤差が生じる。本来ならすべての攻撃が狙い通りの軌道を描かないという欠点なのだが、それは俺のような回避型のプレイヤーにとっては全てを躱させないというアドバンテージとなる。
勿論掠った雪玉が幾許かの削りダメージは、単体では気にするほどの分量では無い。
しかし問題は、それだけではない。
(っ…!? 連続で使えるのか……っ!)
あちらが続けざまに連続して魔法を唱えているのか、絶え間なく攻撃は続いてきたのだ。ちらりと目線をやると、女はいかにも魔法使い然と杖をこちらにつき付け、絶え間なく唇を動かし続けている。その視線からは、俺を捕えて逃がさない気がまんまんなのが容易に読み取れた。
(ちっ……、仕方ない!)
無傷で距離を詰められはしないだろうが、ある程度の直撃のリスクを負えば、いける。
絶え間ない呪文の、あって無いかのようなほんのわずかな隙……女の、「息継ぎ」。その一瞬の隙に地面をを蹴って加速して、一気に目の前へと肉薄する。繰り出すは貫手、《エンブレイサー》。
「はっ!」
「―――!」
だが、それはものの見事に躱された。
ローブを纏ったピュアメイジといった風貌から回避能力はさほどでもないと踏んでいたが、どうやら見くびっていたらしい。相手は軽快な動作で跳び退るとともに、システム認識ぎりぎりの音量での呪
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ