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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission8 ヘベ
(4) マンションフレール302号室 C
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(ようやく終わった)

 解散するメンバーを見送って、ユティはため息をついた。
 疲れたかと問われればノー。気疲れしたかと問われればイエス。

(写真に触れた。色んな感想を耳にした。またカメラやってね、とも言われた。それらに対してワタシの心は揺らいだ? イイエ、揺らがなかった。微細なノイズはあったけど異常を来すほどじゃな……)

 考えていたところで、現実から本当にノイズが聴こえた。

 ユティは音源のキッチンに踏み込んだ。
 ルドガーがシンクの前で、スプーンを挿したマグカップを水場に置いたまま固まっている。

「大きい音、エルとミラが起きる」

 ユティが注意すると、ルドガーは飛び上がった。ひどく不意を突かれた貌。

(とっさに出る表情はユリウスとそっくり。今さらだけど、兄弟なのよね。とーさまの、弟。とーさまがワタシに救わせようとした、とーさま自身と世界一つを引き換えにしなければ救えないほどの運命を負った、人)

「その、ごめん。ボーッとしてて……ユティ?」
「ねえルドガー。アナタの武器の中には銃があった、でしょ」
「え? ……あ、ああ。あるぞ。他の武器と一緒に会社に預けてるから、今は持ってないけど。てか任務以外じゃ大体預けっ放しだぜ? ほら、俺、元は剣使う人間だからさ。実戦で使ったらアルヴィンにモーレツな勢いで説教食らった。手入れ以外でぐるぐる動かすなとか、一回一回セーフティかけろとか」
「その注意はアルフレドが正しい。暴発したら目も当てられない。今後も銃をメイン武装にするの、推奨しない」
「ですヨネ〜」

 両手で顔を覆って泣き真似をするルドガー。ユティもノッてよしよし、と背伸びして銀髪を撫でてやった。エルのようにできたか自信はないが。

(この銀の髪が濁る日がもうすぐ来る)

 ユティはルドガーの頭にやっていた手を下ろしてそのままルドガーの頬に触れた。
 突然スキンシップの種類を変えられたルドガーが目を白黒させている。

「『カナンの道標』は着々と集まってる。『カナンの地』が開かれる日もそう遠くない。その時アナタは、今までとは異質な死の危険と直面する。『オリジンの審判』はクルスニク一族に犠牲を強いるように出来てるから」
「! お前、知ってるのか、『審判』のこと……あ、でも、そっか、ユティも骸殻能力者だっけ」
「ルドガー」

 ルドガーの頬から手を外し、代わりに手を握る。節くれ立った指は戦士らしさを、手荒れはアットホームな人柄を滲ませている。

「選ばないで」
「え…」
「もし誰かがアナタに大事な人を殺すよう迫っても、それが世界のためだと言われても、選ばないで。ルドガーは自分を大事にして。心も、体も――命も」
「それって、どういう」
「……ごめんなさい。現状が曖昧だから、
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