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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第5話 待って居たのはイケメン青年ですよ?
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が終わったのを確認した美月。そして、少しその身を屈めるようにした後、

「それで、このちっこいのが白猫のタマ。一言多いのが玉に瑕だけど、こう見えても、結構、有能なのよ」

 足元でちゃんとお座りの状態で、美月たち人属の挨拶を我関せずの姿勢で聞き流して居た白い猫をひょいと持ち上げて、一誠と、紡の目線の高さで紹介を行った。
 その持ち上げられた白猫と、そして、二人の少年の視線が交わる。

「一言多いのは、美月の方やないか」

 そう言いながらも、持ち上げられたままの姿勢で一誠と紡を見つめるタマ。
 但し、その口調は明らかに疲れた者の口調。確かに、やる気満々の猫と言う存在に出会う事も少ないとは思うが、それでも、この異常な状況に有っては頼もしい限りの反応。
 少なくとも、借りて来た猫状態で、知らない人間の前で萎縮して仕舞うタイプの猫でない事だけは確からしい。

 尚、普通人の場合ならば、猫が急に人語を話し出せば、流石に驚いても不思議ではない状況なのだが、ここはさまざまな種族や修羅神仏が集まる箱庭世界。猫耳少女や、キツネのシッポを持つ少女などが平気で街中を歩いている以上、猫が喋ったとしても驚くに値しない事は知って居る。

 しかし、同時に、このタマと言う名前の白猫が、どの程度役に立つ存在なのかは未知数だとは思っていたのですが……。

「やぁ、もう既に集まっていましたか」

 一同の自己紹介が終わる前。紡と一誠の自己紹介が終わる前に、濃厚に立ち込めた霧の向こう側から掛けられる男性の声。
 声の雰囲気から察すると、これは若い男性。

 そして、

「すみません。色々と忙しかったもので、少しお待たせして仕舞ったみたいですね」

 霧と闇の向こう側、一同が立つ広間の更に奥から顕われた青年。雰囲気から言うと、十代後半から、二十歳過ぎの未だ少年の残り香を感じさせる青年。
 身長は百八十センチメートル程度。頭髪は黒。その黒い髪の毛の額に掛かる部分を、バンダナで持ち上げて瞳に掛かるのを防いでいる。十人中、八人から九人までは美男子だと表現するであろう容貌。
 服装に関しては、濃い緑色のブレザーに白のシャツ。そして、ワインレッドのタイ。スラックスは黒。

 何処にでも居そうな、しかし、簡単に出会う事のないレベルの容貌を持つ青年。

 但し……。
 但し、彼を表現するのは、それだけでは足りない。
 そう、それは戸惑い。敵と感じさせるだけの邪気を放っている訳では無い。しかし、味方なのかと問われると、否と答える。
 堂々巡りの戸惑い。

「お久しぶりですね、皆さん」

 そして、一同の前方、大体五メートルの辺り。ちょうど、小さな祠の存在する辺りで立ち止まり、最初の挨拶を行う青年。……いや、今の挨拶から感じた雰囲気は、
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