第十三話 自分の道
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
黒猫団が壊滅してもう6ヶ月経とうとしていた。
俺とサチはあれ以来、一度も会っていない。
俺はあれ以来、レベル上げととある情報の収集に没頭していた。
アイテムの名前は“還魂の聖晶石”。
この世界において、唯一とも言っていい死者蘇生のアイテムだ。
俺はあの日を境に何かに囚われていた。
それが何なのかは分からない。
罪滅ぼしのつもりか、それとも敵打ちのためか。
もしかしたら、サチに許しを乞うためにそのアイテムを欲しているのかもしれない。
俺は何のためかも分からずにレベルを上げ、そしてそのアイテムを求めた。
「……」
いつも俺の側にいるセイバーも俺の行動には口を挟まない。
いつもであれば口喧しく、休めとか、無茶し過ぎだとか、小言を挟んでくる。
だが、そんなセイバーも俺の行動を黙って見ているだけだ。
そして、12月24日その日は訪れた。
アルゴからもらった情報によると、クリスマスイヴの“迷いの森”のとある木の麓で、“背教者ニコラス”というボスがそのアイテムを落とすらしい。
俺はその日、“迷いの森”へ足を踏み入れた。
セイバーも俺の後ろに付いてくるが、何も発しない。
ただ付いて来るだけだ。
途中、クライン達、“風林火山”の面々と会ったが、それもどうでもいい。
後を“聖龍連合”連中を付けてきたがそれもどうだっていい。
ただ、今はあのアイテムを手に入れるだけでいい。
それで、救われるのなら……
------------------------
結果から言おう。
確かにアイテムはあった。
“還魂の聖晶石”は確かに存在していた。
だが、所詮ゲーム内のアイテムだった。
効果は、
<対象プレイヤーのHPがゼロになってからアバターが消滅するまでの“約十秒”の間のみ蘇生が可能になる>
というもの。
つまり、過去に死亡したプレイヤーに対してはその効果は発揮されない。
絶望した。
俺はしばらく何を考える事も出来なく、ただその文面を反復し読む事しかできない。
俺の罪が消えることはなかった。
許されることのない罪は、どう抗っても償えない。
俺はこの時、自分の行動の何もかもが無意味だったと知った。
償えなかった。
それだけで俺の心は半ば崩壊しかけていた。
ただ、俺は力ない足取りで宿へと歩を進めた。
「……」
あの時、セイバーは何も口出しせずに、黙って俺の戦いを見ていた。
思えば、随分前からその事に気付いていたのだろう。
死者は決して蘇らないという事を。
だからこそ俺一人でやらせたのだ。
無論、俺一人でやるつもりだったので問題はなかった。
死というものと向き合うために、
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ