第二十九話 少年期K
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かかえる。もう片方の手で引き出しに入れていたカードキーを手に取り、俺の前にズカズカと歩いてきた。
「そろそろ会議の時間だから俺は出るぞ。鍵をかけるから早く出ていけ」
「い、いきなりですね。まぁ出ますけど」
長話をしていたからか、当初の予定よりだいぶ時間が過ぎている。総司令官に挨拶をして帰りたかったけど仕方がないか。後でメールを送っておいて、今は副官さんにお願いしておこう。俺もソファから立ち上がり、身体を伸ばしてほぐす。俺は転移で帰ればいいので簡単だ。
「えっと、それではありがとうございました。総司令官にもお礼を伝えてくれると嬉しいです」
「わかった」
短く返された返事に頭を下げ、忘れ物がないかどうか周りを確認する。それに大丈夫かな、とチェックを終え、いつでも転移が発動できるようにした。
「また調べものをするときには連絡をしますね」
「あぁ。……知りたいのなら、あとは自分の力で調べるんだな」
「え? はぁ、失礼します」
曖昧な返事になってしまったが、そのまま転移を使って家まで移動した。新たにできた自分の部屋に到着し、ほっと息をつく。空の日もだいぶ落ちてしまっていたが、晩御飯までまだ時間はある。それが出来上がるまでベットに寝転がることにした。
それにしても今日は疲れたなー。出てしまった欠伸を手で覆い隠しながら、なんとなく天井を眺める。少し眠っておいて、休息でもとろうか。思い立ったが吉日。早速寝過ごさないように俺は目ざまし時計を召喚した。
『今ものすごく失礼なことを考えませんでしたか』
サクッとスルーして、1時間後ぐらいに起こしてもらうように告げる。腕を伸ばし、パキパキと骨が鳴る音を聞きながら枕に顔を沈める。自分の部屋ができたことで、新しくなった枕の柔らかさに頬が緩む。これは寝られる。
『あ、ますたー。寝られる前に先ほど届いたメールの確認をされてからの方がいいのでは?』
「え、メール来てたのか」
『はい。管理局からのものでしたし、急ぎかもしれませんから』
俺はしぶしぶ起き上がり、乱れた髪を少し整える。おじいちゃんへのお礼のメールも送らないとダメだし、丁度いいか。俺はコーラルからの忠告に了承の返事を返した。
そして端末のディスプレイを開き、そこからメールを確認する。……あれ? これ、確か副官さんのアドじゃなかったか。おじいちゃんからだと思っていたが、間違いなく副官さんからのものだった。
伝え忘れたことでもあったのだろうかと封を開くと、文面にはどこかの住所らしきものが記載されていた。他には特に何も書かれていない。何これ? これもしかして間違って送られたものじゃないかと思ったが、送付ファイルもあることに気が付く。念のために確かめようと指で触れて内容を開いた。
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