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少女1人>リリカルマジカル
第二十九話 少年期K
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言葉の端々から、意図して話を誘導しているような感じがしたのだ。こちらの反応を窺うような雰囲気が俺に伝わってきた。俺の行動が不審なのは自覚している。だけどここまであからさまだと少し気分が悪い。

 そんな俺の言葉に、副官さんは多少ばつが悪そうに顔を逸らした。たぶんこの人もそれはわかっているのだろう。もともと真面目な人だし、一度結ばれた契約を無遠慮に破る人じゃない。けど感情が追いついていない感じだろうか。

 思えば、副官さんって確かまだ18歳なんだよな。日本でいうところの高校生か大学生ぐらい。一生懸命な人だから、目の前に明らかに怪しいです、って人物がいれば警戒して当然か。そう考えるとこの人はかなり自制心を持っている方なのだろう。むしろこの場合、おじいちゃんが寛大というか大雑把すぎる気がしてきた。

 なんだか俺も申し訳なく感じてくる。副官さんが心配するような事態を招くつもりはない。でもそれを伝えることはできない。この場合、契約という形で関係を成り立たせた俺にも責任はあるか。こちらは誠意っていう最も大切なものを見せていないのだから。

「あぁ、そうだな。確かに契約違反になる。……すまなかった」
「いえ、こちらもすいません。副官さんが疑いを持つのも仕方がないのに」
「それがわかっていてだんまりか」

 ガシガシと手で頭を掻きながら、副官さんは無言になる。俺から口を開こうかと思ったが、何を言うべきかわからない。いつも軽口を言い合うぐらいなら簡単にできるのに。

 と、俺が考えたと同時に副官さんからどでかい溜息が聞こえてきた。それに俺は目を大きく見開く。先ほどまでの固かった空気もどこか和らいだような気もする。傍目から見てもわかるぐらい、疲れたというかめんどくさくなったという顔が正面から見えた。


「……そもそもなんでお前みたいなやつに、俺がこんなに気を遣わなくてはならないんだ」
「それ普通にひどい。でもコーラルがいたら、『6歳と18歳が塞ぎ込んでいる謎空間ですねー』ぐらいのことは言いそうですけど」
「あのデバイスなら言いそうだ」

 共通の話題で会話復活。

「だいたい胡散臭いのがわかっているくせに、話さないって疑えと言っているものだろ。それとも疑ってほしいのか。お前実はマゾか」
「よりにもよってマゾとはなんですか。6歳児相手に凄む大人げないエスのくせに」
「俺に変な性癖をつけるな。あとお前は6歳児に謝ってこい。この見た目詐欺野郎」
「真面目なところだから気合入れてシリアスしてきたのにあんまりじゃないですか。しかも俺は6歳児の中に紛れ込んでも普通に何も言われないですよ。……あれ、これいいのか?」

 軽口も復活しました。


 そんな応酬から数刻経つ。お互いに息を吐き合い、ソファの背にもたれかける。なんか
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