第二十九話 少年期K
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回程度。そのほとんどが地上本部での説明などに使われていた。
行っていい場所や駄目な場所、あと守らなければいけないルール。そして仕事内容なども教えてもらった。主な仕事はレアスキルを使ったもので、戦闘関連は一切ない。俺に危険が及ぶものはないらしく、そこは総司令官の配慮だと思う。かなり助かる。
そんな風にやり方を覚えながら過ごすのが、今の地上部隊での俺の日常である。だけど俺がここと関わりを持ちたいと考えた本来の目的は別だ。俺の主眼は調べものをすること。そんな俺自身の目的は少々後回しになっていた。
けれどようやく安心して目的に力を入れることができる。真上に掲げた紙から透ける人工的な光に一瞬目が眩みながらも、管理局の端末から調べられたデータを眺める。家の端末ではほとんどわからなかった事実が、そこにはより詳しく載っていた。
『呪いの魔導書』
これは家で調べていて、何度も出てきた単語だった。数々の世界を破滅へと導き、終わることのない永遠の旅を続ける悪魔の本。それが、第1級ロストロギア『闇の書』。それが、俺の調べられた数少ない情報のすべて。
総司令官から許可をとり、地上本部のバンクを見せてもらったことでこれよりもっと深く知ることはできた。そしてそこでわかったのは、何故呪いの魔道書と呼ばれているのかという理由とその力。……正直に言えば、目新しい情報はなかった。
なんというか原作知識を再確認したという感じだ。もちろん俺が初めて知る情報だってあった。今まで起こった事件の状況や、その傷跡など、はっきり言ってあんまり気分のいいものではなかったけれど。まぁ結論からいうと、俺の知りたい情報は残念ながら載っていなかったのだ。
けれどそれほど落胆がなかったのは、ある程度予想していたからだろう。闇の書がもともと夜天の書と呼ばれていたことがわかるのだって、今から20年以上も未来のこと。それがわかっていたら、ユーノさんがわざわざ調べる必要もなかったはずだ。
落胆はしていない。だけど少し気が滅入ってしまったのは仕方がないと思う。
「なんか、すげぇ散々なこと書かれていますね」
「はぁ? ロストロギアに配慮なんてしてどうする。それに事実しか書かれていない」
「……そうですね。俺がただ一方的に知っているだけです」
書かれていた文章を読み終え、俺はまた考えてしまう。資料に書かれているのは、いかに闇の書が危険な代物であるかということ。最悪を、破滅を生み出す呪われた魔導書。主を守る盾であり、魔力の源であるリンカーコアを奪うための剣である、無慈悲なプログラム体である魔法生命体の存在。
これが彼らの評価なのだ。人としてすら扱われていない、ただの記号のような道具のような扱い。それが次元世界での認識。だけどそれ以上を
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