今際の展望
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ってくれていればとも思ったが、痛みを残しつついたぶり殺そうというのが、ブロリーの目的のような気もしてきた。
殺そうと思えば簡単に、それこそ握りつぶさずとも、気弾なり、あるいは首の骨をへし折るなりで、一思いにやれた筈だ。
それをしないで、わざわざポッドと一緒に握りつぶすなんて残忍な殺し方を選ぶとは、我が息子ながら、これほど恐ろしい奴もいまい。
だが、そんな残忍な殺し方をさせてしまったのは私――――――と、どうやら本当に終わりの時が来たようである。
寿命が足りないなどとのたまった割には、ここまで長々と付き合わせてしまったが。
私を乗せたポッドが、今まさに、私がさっきまで居た「新惑星ベジータ」に衝突する予定である、グモリー彗星に衝突しようとしていた。
衝突を避けようとして実際に衝突するより前に衝突してしまうとは、なんとも情けない話である。
握り潰すのではなく、このグモリー彗星に衝突させて、最期に屈辱を味わわせてやろうというのが、ブロリーの本来の目的だったのだろうか。
いや、あいつの真意はこの際、わからなくてもいい。
わからなくてもいいが、せめて一言、謝りたかった。
謝っても謝っても、絶対に足りないのだろうが。
それでも謝りたかった。
「……すまなかった」
生まれたばかりのお前を、守ってやれなかったこと。
成長するにあたって、ロクな教育もしてやれなかったこと。
制御装置などというものをお前に着け、道具のように扱っていたこと。
そして、お前を見限り、一人で避難しようとしていたこと。
今までのこと、全てに。
ポッドが彗星に叩き付けられ、私の体もろともに、粉々に、砕け散る。
グモリー彗星は、青かった。
「いや、ここで終わっちゃうわけにはいかないんですけどねー?」
…………んん?
続く。
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