第四章
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「どうもね」
「バンバンジーはどうだ?」
「フレンチドレッシングがかかってるけれど」
「合わないか」
「バンバンジーには中華よ」
それが一番合うというのだ。
「もっとドレッシングとそれぞれの素材の組み合わせを考えていって」
「わかった、じゃあな」
バーグマンはリンダの言葉に頷いた、そして。
それから何度も作っていった、その度に娘から駄目出しを受けたがへこたれなかった。それで何度めかで。
ようやくだった、リンダは微笑んでこう言った。
「いけるわ」
「そうか」
「これなら売れるわ」
「じゃあ明日から店に出すな」
「アメリカンサラダっていう名前ね」
「それで出す、いいな」
「ええ、これなら大丈夫よ」
サラダの仲の苺やパイナップル、ヨーグルトがかかったフルーツサラダの部分のそういったものを食べながらだ、娘は父に答えた。
その次の日に店に出す、客からの評判は好評だった。
「このサラダいいな」
「ああ、色々なサラダが食えてボリュームもあるしな」
「アメリカンサラダか、実際にそうだよな」
「色々入っていて合衆国に相応しいな」
「ああ、アメリカそのものだよ」
「いいサラダだよ」
こう話して食べる、その客達を見て。
バーグマンは笑顔でだ、注文を言いに来たリンダに言った。
「苦労の介があったな」
「そうね、評判いいわね」
リンダもサラダに舌鼓を打つ客達を見つつ笑顔で父に応える。
「本当に」
「何度も作りなおしたな」
「そうね」
「しかし本当に苦労したな」
バーグマンはしみじみとした顔で言った。
「あのサラダを出すまでに」
「そうね、けれどね」
「けれど?」
「それも当然でしょ」
リンダはここでこう言った。
「そうでしょ」
「何が当然なんだ?」
「アメリカンサラダで私達アメリカ人でここアメリカよ」
だからだというのだ。
「だったら何度も失敗するのも当然でしょ」
「ああ、アメリカの歴史か」
「人種的な話でどれだけ失敗してきたか」
アメリカは移民を受け入れてきた国で実に多くの者がいる、そしてその多さの数だけの過ちも犯してきた国なのだ。
リンダはサラダの中の辛いメキシカンな部分を食べつつ父に言う。
「メキシコ系っていうか私達も含めてヒスパニックの問題もあるでしょ」
「それか」
「アフリカ系もだし」
「ああ、アフリカ系なあ」
この問題は世界的に有名だ。
「そういえばイタリア系もアイルランド系もな」
「差別されてきたでしょ」
「アジア系もな」
中国系も日系もだ、日系人に至っては大戦中強制収容所にまで収容されている。
「俺のウェールズ系だってそうだったな」
「ケルトだからね」
「そうだな、それこそ何度も失敗してな」
「今に至るでしょ」
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