第一章 土くれのフーケ
第六話 “虚無”と“ガンダールヴ”
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に笑いかけた。
それに対し、士郎はニヤリと口の端を歪めた。
「まあ、それなりに修羅場は潜っていましてね。で、どうなんですか? やはりルイズは“虚無”の使い手なんですか?」
「ふぅ〜……その前に、お主が何故、そのように思い至った理由について尋ねてもよろしいかの?」
椅子に深く座り直したオスマン氏は、水ギセルを一吸いすると、煙を吐きながら士郎に問いただす。
「そう、ですね。切っ掛けは失敗と言われている爆発です。爆発について少しばかり疑問に思いましてね。魔法を失敗した際の事について人に話を聞いてみたんですよ。で、その結果分かった事は、普通は魔法に失敗すれば何も起きないか中途半端な結果になると言うこと」
その言葉に部屋の隅で空気となっていたコルベールは、『あ』と呟いて今気づいたとばかりに手を叩いた。
「次に私の召喚です。今まで一度も魔法を成功させたことが無かったルイズが、唯一成功させた魔法と聞きました。それで少しばかり召喚の魔法について調べてみたんですよ。たしか呪文はこうでしたね。『我が名は『…』。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ』」
オスマン氏の眉がピクリと動き、コルベールはそれがどうしたのかという顔をする。
「ルイズが言うには、今まで全ての系統の魔法を試してみたが、結果は全て駄目だったと。そう、教えてもらった系統全てが」
そこまで言って一度言葉を止めた士郎は、オスマン氏とコルベールを見る。
コルベールは何かに思い至ったのか、まさかといった顔になり、オスマン氏は水ギセルを吸うと大きく煙混じりの息を吐いた。
「召喚の呪文の中の一節にこうありますね。『五つの力を司るペンタゴン』と……五つ、それはつまり火、水、風、土……そして―――“虚無”」
それを聞いたコルベールは目を驚きに見開き、オスマン氏は士郎を見つめる。
「あとは、そうですね。確信を持ったのがこのルーン。ルーンにはこう刻まれている ……『ガンダールヴ』と……意味は、もう気付いているのでは?」
士郎はオスマン氏に見せ付けるように左手を掲げながら言った。
「始祖の使い魔……伝説の使い魔“ガンダールヴ”」
オスマン氏はチラリと士郎の左手を見ると、天井に向かってプカリと煙を吐く。
「そして、始祖の使った系統魔法は“虚無”……ここまで揃えばどんな鈍い奴でも気付きますよ」
士郎が言い終えると、それまで黙っていたオスマン氏が感心したように首を上下に何度も動かした。
「ふむふむ……で?」
だが目は底冷えする冷たい光が灯っており、それに気付いた士郎は苦笑いを浮かべた。
「いや『で?』と言われても……まあ、ただ、何故ルイズにそ
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