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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第六話 “虚無”と“ガンダールヴ”
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「これも、始祖ブリミルのお導きか……。わかった、入ってもらってくれ」

 オスマン氏は渡りに船だと考えた。向こうのほうから面会を求めてくるとは、手間が省けていいと。
 オスマン氏の許可を受け、扉が開けられ話題の使い魔が二人の前に姿を現した。



「急な来訪に応じてくれて感謝します。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔で衛宮士郎と言います」

 士郎は学院長室に入ると、軽く頭を下げながら挨拶をした。

「トリステイン魔法学院の学院長オスマンじゃ」
「シロウくん、どうしてここに?」
「お尋ねしたいことがありまして。そう、ですね。出来ればコルベール先生も一緒にお願いしてもよろしいですか」
「ふむ、わしは別に構わんぞい」

 オスマン氏の許可を受けたコルベールは、士郎の言葉遣いに少々疑問を挟みながらも、話の邪魔にならないように部屋の隅に移動した。

「噂に聞いておったが、君がミス・ヴァリエールが召喚した人間の使い魔かね。で、わしに尋ねたい事とはどんな事かの?」
「少しばかり魔法について……学院の方に聞いてみたところ、学院長がこの学院で一番魔法に詳しいという話を聞きましたので」
「ほう、つまりお主が知りたい事とは、あまり一般的な魔法ではないと言うことかね?」

 顎鬚をしごきながらオスマン氏は士郎に視線を向け続きを促した。

「それで、何が知りたいのじゃ?」

 オスマン氏に問われた士郎は、スッ、と目を細めると、静かな声で応えた。

「単刀直入に聴きますが。オールド・オスマン……私のマスターであるルイズは、失われた系統魔法である“虚無”の使い手ではありませんか」

 士郎の言葉を聞いたときの二人の反応は、互いに驚きであったがその内容には違いがあった。
 ただ驚いたといった顔をしたコルベールに対し、オスマン氏の驚きは、秘密を知られた者の驚愕した顔であった。

「―――やはり知っていましか。ルイズが失われた系統魔法である“虚無”の使い手だということを」

 士郎のその言葉に驚いたコルベールが慌ててオスマン氏に顔を向ける。だがコルベールの視線が向けられた時には、オスマン氏の表情には驚愕の動揺は見られなかった。

「さて、なんのことかの?」
「別にとぼけるのは構いませんが」

 ゆっくりとした歩調で部屋の中央までくると、士郎は椅子に座るオスマン氏に向かい合った。

「あれでは『なぜ知っているのか』と言っているようなものでしたよ。せめて同じ驚くなら、コルベール先生のような驚き方ではないと」
「……普通は見分けられる者などいないがの」

 ぴしゃりと音を鳴らして顔を手でおおったオスマン氏は、普段は決して見せることは無い、ハルケギニア最高峰の魔法使いとしての顔で士郎
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