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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第六話 “虚無”と“ガンダールヴ”
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爆発する……それに俺を召喚した魔法。まさしく魔法だ、平行世界ではなく異世界への移動。そんなことが出来るルイズが、魔法を使うと爆発する。何か理由があるはずだ……もしかしたら『アレ』か? 可能性は高い……確かめてみるか。
 
 士郎が学院長室だと思われる場所にたどり着くと、そこには見知った顔があった。
 緑色の髪を持つ知的な印象の女性、学院長秘書であるロングビルであった。

「ミス・ロングビル。先程はすみませんでした」

 士郎に気づいたロングビルは、一瞬ビクリと肩をすくめると、士郎に振り向き、驚いた顔で士郎に話しかけた。

「みっ、ミスタ・シロウ……どうしてここに?」
「ええ。少し学院長に聞きたいことがありまして」
「オールド・オスマンに、ですか……」

 ロングビルは学院長室のドアを見ながら考えた。
 部屋を出る前にチラリと見たコルベールが持っていたスケッチには、士郎の左手に刻まれているルーンが描かれていた。そして、あの話の流れからすると士郎に関係する話だろう。
 なら、一応オスマン氏に言っておくほうがいいだろうと考え、学院長室のドアにノックをして声を掛けた。


 


 学院長室では、コルベールが士郎の左手に浮かんだルーンについて調べた結果、たどり着いた自説をオスマン氏に説明していた。

「ふむ……始祖ブリミルの使い魔“ガンダールヴ”か……」
「そうです。彼の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔“ガンダールヴ”のものとまったく同じでありますっ!」

 オスマン氏はコルベールのスケッチと書物のルーンをまじまじと見比べた。
 コルベールは話している内に調子が戻ってきたのか興奮した様子でまくし立てる。

「すなわち、あの男性は『ガンダールヴ』ということです! これが大事でなくてなんなんですか! オールド・オスマン!」
「確かに、ルーンは同一のものじゃ。ルーンが同じならば、その男が『ガンダールヴ』になった、ということも考えられぬ話ではないのう」
「どういたしましょうか?」

 オスマン氏は、身を乗り出したコルベールを手で制した。

「まぁ、落ち着きたまえ。現時点では『可能性がある』というだけの話じゃ。それだけでそう決めつけるのは早計じゃろう」

 そのとき、扉がノックされた。

「誰じゃ?」
「私です。オールド・オスマン」

 扉の向こうから聞こえてきたのは、ミス・ロングビルの声だった。

「なんじゃ?」
「ミス・ヴァリエールの使い魔の方がいらしていますが、どういたしましょうか……」

 まさしく、今自分たちが話題にしている男の名前を聞いたコルベールが、慌てた様子でオスマン氏に伺いを立てた。

「オールド・オスマン!」

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