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消えたソウルフード
第二章
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「ですからこれは」
「ああ、ピザは考えてない」
「やっぱりそうですか」
「アメリカ料理だよ」
 彼はまた言った。それだとだ。
「だから和食も中華料理もな」
「そういったのもですね」
「今回は」
「どっちも確かに美味いさ」
 アメリカは移民の国だ。それならば日系や中国系もいて当然だ。その彼等の料理もアメリカに入ってきているのだ。勿論ブライアンもそういったものを食べたことがある。
 だがそれでもだ。今はなのだった。
「けれどアメリカの本来の料理じゃないからな」
「ハンバーガーみたいにアメリカから生まれた料理」
「それを出したいんですよね」
「そうだよ。あとイギリスは最初から却下だぞ」
 アメリカの宗主国と言ってもいいだ。この国はだというのだ。
「そりゃ全部は否定できないけれどな」
「ですね。プティングとかそういうのは」
「どうしても」
「それでもイギリス料理だからな」
 だからだ。この国も駄目だというのだった。
「しかもまずいからな。あの国の食い物は」
「ええ、俺イギリス行ったことあるんですけれど」
「俺もですよ」
 同じ英語だから言葉は通じる。だから旅行に行ったのだ。しかしそこでだとだ。店員達もその顔を顰めさせてだ。そのうえでブライアンに話すのだった。
「いや、噂以上ですよ」
「滅茶苦茶まずいですよ」
「どの店も最悪ですよ」
「あんなの合衆国じゃ速攻で潰れますよ」
 こう言うのだった。イギリスの料理もそれを出す店もだ。
「本当にね。ハンバーガー食ってる方がずっとましです」
「あんなの食ってりゃそりゃ駄目ですよ」
「本当に何もかもがまずいですから」
「イギリスは駄目ですよ」
「ああ、俺もだからな」
 ブライアンもだ。本当にイギリス料理についてはだった。
「論外だからな」
「それでアメリカ独自の料理ですね」
「それをですか」
「店に出しますか」
「とりあえず勉強してくる」
 料理も勉強だ。そういうことだった。
「ちょっとな。そうしてくる」
「ええ、それじゃあ上に話をして」
「それからですね」
 こうしてだ。おおよその話は決まった。そのうえでだ。
 ブライアンは休日に街でそのアメリカ料理を探して食うことになった。しかしだ。
 アメリカ料理といえばハンバーガーにホットドッグ、そういったものばかりだ。言うまでもなく彼が店で扱っているものばかりだ。そういったものはだった。
「駄目だ駄目だ」
「もうお店にあるからよね」
 彼と一緒にいるのは褐色の肌に縮れた長い黒髪の女だ。顔の彫が深く顔は痩せている。 
 目は黒く強い光を放っている。背は高くすらりとしている。ブライアンの恋人のキャシー=スウィストだ。
 その彼女がだ。ハンバーガーショップ、彼の働いている店とは別の系列の店の
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