第四章
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「本当にね」
「そうですよね。私の好きな人は」
麻美子はその両手を自分の足の前に置きそのうえでこう渉に答えた。
「私のことを真剣に思ってくれている人で」
「外見は?お金とかは?
「そういうことは気にならないので」
あくまでその人の心を見るというのだ、麻美子の人格が出ている。
「ですから」
「乃木坂さんを本当に好きな人だね」
「大島君はそうですか?でしたら」
「お兄さんと会って」
「はい、兄がどうしてもって言っていますので」
渉は話を聞いていてその兄から逃げられないとわかった、若し逃げてもそんな兄なら見つけ出しその場合は問答無用だとなることが容易に理解できた。
それでこう麻美子に答えた。
「わかったよ。それじゃあさ」
「兄に会うんですね」
「会うよ。そうしないと何もならないから」
このことを理解しての言葉だった。
「だtったらね」
「わかりました。それでは今度の日曜私の家に案内します」
「そこにお兄さんがいるんだね」
「はい」
その問題の恐怖の兄がだというのだ。
「いますので」
「わかったよ、じゃあ日曜ね」
こうして渉は麻美子と正式に交際する為に日曜に彼女の家に行きそおうえで問題の兄と会うことになった。114
日曜また喫茶店で待ち合わせそれからだった。
麻美子の家に行くことになった、それで日曜彼なりに必死にお洒落をして喫茶店に行くとそこにいる麻美子の服は。
「何か凄いな」
「そうですか?」
「いや、家は呉服屋さんって聞いてたけれど」
「はい、ですから普段着はです」
「その服なんだ」
見れば麻美子は着物を着ている。楚々とした感じの桃色の和服だ、上から緑の羽織りものも着ている。実によく似合っている。
その和服姿の麻美子にまた言う渉だった。
「いや、驚いたよ」
「和服のことにですか」
「ああ、かなりな」
「けれど本当に学校から帰るといつもなんです」
「和服なんだな」
「洋服も持ってはいますけれど」
家が家でだというのだ。
「殆ど和服です」
「動きにくくないんだな」
「いえ、別に」
和服だが動きにくいということはないというのだ。
「慣れているせいでしょうか」
「だったらいいけれどさ」
「はい、それでは」
「ああ、乃木坂の家にな」
「案内致します」
和服姿の麻美子はにこりと笑って渉に言う。そうしてだった。
二人で喫茶店から麻美子の家に向かう、この途中まではデートになって二人であれこれ楽しく話せた。だが。
如何にもという感じの大きな門、そしてその向こうjにある大きな庭と青瓦の二階建ての屋敷を見て渉は真剣な面持ちで言った。
「ここが乃木坂の家だよな」
「はい、お店は別の場所にあります」
所謂本店は屋敷とは別の建物にあるというのだ
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