プロローグ 「邂逅 ~Encount~」
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「ゲホッゲホッ!何で、俺を助けたんだ?」
「自惚れないでくださいまし。これは、私の気まぐれ」
「だったら、殺してくれ。俺はもう、生きている意味なんか」
項垂れる一夏に少女は、興味深そうに瞳を細める。
「ざぁ〜んねん。今すぐ、貴方を殺しませんわ。死のうとしても、死なせてあげませんこと」
「な、何でだよ!!」
激昂し、掴みかかる一夏だが、少女の嗜虐的で冷めた視線に、自然と体の動きを止めてしまう。
「私、Sなんですの」
「そんな殺生な!?」
「ま、冗談でしてよ。そうですね。貴方がどうしても死にたいならば、契約を交わしましょう」
「契約?」
悪戯を思い付いた童子のようにクスクスと、無邪気に嗤う少女。
「ええ。貴方は私が生かしましょう。私が生きる意味を授けて差し上げますわ。そして、貴方が『まだ生きたい』。そうおっしゃった時に、殺してあげますわ」
「拒否権は?」
「有りません。私の名は、時崎狂三。貴方は?」
「織斑一夏だ」
狂三が差し出した腕を、一夏はしばし戸惑った後にその腕を取る。
「ふふふ。よろしくお願いしますわ、一夏さん。精々、私を楽しませてくださいな」
「……うるさい」
狂三の無邪気な笑顔に思わず見惚れ、それを隠すように一夏はそっぽを向いた。
そんな一夏の反応を楽しみながら、狂三は一夏を連れて歩み出した。
数時間後、独自の情報網でブリュンヒルデこと、織斑千冬の弟が誘拐された場所を突き止めたドイツ軍が突入したが、そこにあったのは、物言わぬ五つの死体だけであった。
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