気まぐれ
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の縁だけだと思うし。」
「俺でも制御できねぇよ。」
「そうかしら?
結構言うこと聞くと思うのだけど。」
何やら含みのある言葉を言うが、本当にそうだろうか?
俺も部屋を出て部隊の編制や糧食の準備をしようとしたが。
「ちょっと待って。
最後に伝えておかないと。」
「何をだ?」
「要請を出した州牧についてだけど、あんまり・・・というか、かなり良い噂は聞かないわ。」
「それって喧嘩っ早いてところ?」
「それもあるけど、違うわ。
かなり圧政を敷いて、民達を苦しめているの。
治めている土地にある村が賊に襲われても、対応が遅く、かなり苦しんでいる。」
「別の所に移住するのは・・・」
と、自分で言って納得した。
今のご時世、別の土地に移動したら賊の格好の的だ。
それなら、例え対応が遅くても兵を連れてきてくれる土地にいた方が、まだ安全だ。
俺が納得したのを見て、華琳は頷く。
「そういうこと。
一応、州牧については頭に入れておいて頂戴。」
「了解。」
返事をして俺は部屋を出て行った。
「・・・・姉さん。」
「どうしたの?」
「縁さんに教えなくて良かったのですか?
その州牧は最近、頻繁に出現している賊と繋がりがあるということを。」
今日だけで賊が村を襲っているという報告を聞いたのは四回。
昨日や一昨日もかなりの数の報告を聞いた。
あまりにも不自然と考えた華琳は独自に調査をして、救援を要請してきた州牧が怪しいという結果が出てきた。
この事を知っているのは華憐のみ。
他の人にはまだ、確定したわけではないので知らせてはいない。
縁に伝えれば、内部調査を兼ねた密偵の任を与える事ができた筈だ。
「考えたけどまだ憶測の域を脱してはいない。
ここで情報を教えれば、縁の視野が狭くなるかもしれないから教えなかったのよ。」
縁に限ってそれはないでしょうけど、と最後に軽く笑いながら言う。
だったらどうして教えなかったのか、ますます分からなくなった華憐は首を傾げる。
「これも憶測なのだけれど、縁も縁で勘付いていると思うわ。」
まさかの発言に華憐は目を見開いた。
「昨日くらいから地方の地図を貸してくれだの、と資料とか集めていたみたい。
彼は彼なりに捜査しているから、それを邪魔したくないと思ったのが一番かしら。
多分、縁から何かしらの報告があると思うから、準備だけはしておくわよ。」
「は、はい!」
胡蝶に出陣の準備をさせるのに少し不安を覚えていたが、報告書を本人からの手で貰って目を通し、今の兵力を考えれば妥当な編成になっていた。
「にしても、いつになくやる気だな。」
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