第十六話
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とるに足らないと考えたか、厄介である事が骨身に染みて分かっているからか。
……ちなみに、俺は後者だ。
「その特殊効果は……ボスモンスターが放つ炎には、《タンク》の鎧を耐久力を無視して破壊する、という効果なようです」
アスナが一呼吸してから発した一言は、プレイヤーたちを先程とは別の意味で押し黙らせるのに充分な効果があった。
「そんなモノ、聞いたことないぞ……!」
横でキリトが苦虫を噛み潰したような顔をして呟くが、俺も同じ気分だ。
SAOでは、どんな物にも耐久力が設定されている。
武器も、鎧も、食べ物すらも。
その耐久力が限界を超えて破壊されることはあるが、無視して破壊するとは始めて聞いた。
「そこで私から提案するのは、ここ、第五十五層のボスモンスターは、《ダメージディーラー》だけで攻略する、ということです」
「な……!?」
アスナが放ったまさかの一言に、歴戦の攻略組プレイヤーと言えども絶句する。
「作戦は至って単純です。まずは初撃を防いで前方から一撃を入れてタゲをとり、側面からのダメージディーラーの《スイッチ》による連撃で超短期決戦を狙います」
正直、今までのボスモンスター攻略からしたら異常なことだが、タンクが戦闘することが出来ない今回の戦闘において、この作戦はなかなかの物だと思う。
「ボスモンスターの攻撃の防御は……」
「それは、私が担当させてもらう」
アスナの作戦説明の後を引き継ぎ、後ろのヒースクリフが前に出る。
イマイチ作戦会議には口を出さないヒースクリフだが、いざ前に出たら出たで存在感がある。
ヒースクリフは、そのまま言葉を続けた。
「しかし、偵察が不完全である以上、私一人では不安が残る」
心にもなさそうな言葉を平気で言いつつ、ヒースクリフはコツ、コツと音をたてて俺たちの方へ歩きだした。
まるで、モーゼが滝を割ったかのようにプレイヤーが進路から外れていく。
「私の他にもう一人、正面からの攻撃/防御役が必要だ」
ダメージディーラーたちの滝を割り、ヒースクリフがたどり着いた場所は――
「危険な仕事だが、頼めるかね? ショウキ君」
――俺の、正面だった。
ヒースクリフは俺の前に立ち、挑戦的な瞳で俺を見据えていた。
それに対してニヤリと笑い。
「良いだろう。ナイスな展開じゃないか……!」
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