第十六話
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「まだ生きてたのかよ?」
「お前こそ、中層で人助けしてなくて良いのか?」
お互いに憎まれ口を叩きつつ、俺もキリトと同じくホールの片隅に行き、アイテムストレージから
自家製のお茶を取り出し、ぐびりと一口飲んだ。
うん、美味い。自分が作った……正確にはシステムスキルが、だが……お茶の味に満足していると。
「……ん?」
この大ホールを包む違和感が俺を襲った。
ボスモンスターの攻略をするとしたら、今のこの状態は明らかにおかしい。
その違和感の正体とは――
「……気づいたか、ショウキ」
「ああ。……なんでボス攻略なのに、《タンク》がいないんだ?」
このゲームには、いわゆる《職業》は無いものの、ステータス振りによってある程度の種類に別れる。
一つ目は、基本的には筋力と敏捷をバランス良く上げている《ダメージディーラー》と呼ばれる職業。
殲滅力は素晴らしいものの、基本的には軽装なので防御力は心許ない。
横にいるキリトや、……まあ、一応俺もそうだ。
二つ目は、戦闘スキルを上げていないが、代わりに生活スキル等を上げて攻略プレイヤーをサポートしてくれる《職人》
まあ、今ここにいるはずが無いこのビルドの説明は割愛させていただく。
そして最後に、ここにいなければいけないビルド――《タンク》
筋力を優先的に上げ、重厚な鎧に身を包み、ダメージディーラーとは逆に圧倒的な防御力を誇る……が、殲滅力には欠ける。
故に、ダメージディーラーとタンクは、同じパーティーにいることが望ましい……いや、ボス攻略ではいなければいけない筈だが……どういうことだ?
「おい、ショウキ。理由を話してくれるみたいだぜ」
「……そうみたいだな」
何故俺たちがそう判断したかというと、目の前にある無駄に長い螺旋階段から、二人の人物が降りてきたからだ。
――血盟騎士団のトップ2、《神聖剣》ヒースクリフ。《閃光》アスナの二人が。
二人は静かに螺旋階段を降りきると、《閃光》アスナが一歩前に出た。
ヒースクリフの方が団長ではあるが、実質的に指揮をとっているのは副団長のアスナの方だ。
「皆さん、集まっていただきありがとうございます」
アスナの凛とした声が大ホールに響き、雑談をしていたプレイヤーたちの視線は二人に集中する。
「今回の第五十五層のボスモンスターですが、血盟騎士団の隊員による偵察で、炎を吐き出す虫型のモンスターだという報告を得ています」
……炎を吐き出す、か。
それぐらいなら斬り払えるな。
「そして、そのボスモンスターが放つ炎には、ある《特殊効果》が付加されていることも」
そのアスナの言葉に、プレイヤーたちはただ押し黙った。
特に珍しくなく、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ