第六十六話 お〜王族だらけだな
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ルバニアは必死に笑顔を崩さないように保つ。
だが、体中に汗を流している。
「もしよろしければ、どういうことなのかお教え願いませんか?」
「そ、そんなこと言ったかニアよ?」
若干(じゃっかん)裏声になりながらもニアに助けを求める。
ニアは頼りない夫の態度に軽く溜め息を漏らす。
そして、しっかりとステリアの目を見つめる。
「ええ、言いましたよ」
「ええっ!?」
そんな声を出したのは、もちろんギルバニアだ。
まさか彼女が認めるとは思わなかったからだ。
ニアなら上手い言葉で煙(けむ)に巻いてくれると信じていた。
しかし、彼女は期待には応えてくれず、ギルバニアの脳内は混乱に陥った。
そんな様子を感じたのか、ニアはクスリと笑う。
「よろしいじゃないですか。あの子は私達の家族ですよ? あの子が大会で勝ったら、賞品ですけど、子供にプレゼントするようなものじゃないですか」
「い、いや……それはそうなんだが……」
もちろんあの子というのは闘悟のことだ。
ギルバニアは当然大会は闘悟が優勝すると思っている。
今回大金を賞品にしたのも、闘悟の勝利を疑っていなかったからだ。
幾ら大会を盛り上げるためだとはいえ、見ず知らずの者に白金貨十枚は少し頑張り過ぎている。
しかし、闘悟なら、彼女の言うようにプレゼントみたいなものなので構わない。
むしろ、あまりお金に興味が無い闘悟だから、もしかしたら受け取らないこともあるかもしれないと、そんな小さくてせこい考えも少しは持っていた。
だが、裏を返せば、それだけ闘悟は二人に信用されているということだ。
身内びいきな考えを、あまり他人には知られたくなかったギルバニアは、冷(ひ)や汗で盛大に衣服を濡らしている。
「ふむ、あの子とは……?」
今度はブラスが疑問をぶつけてくる。
ステリアも真剣にギルバニアの顔を見つめる。
同じくその場にいたクィルも、彼女を見て初めて不安そうな表情を作る。
そして、ギルバニアは諦めたように肩を落とし、ゆっくりと口を開く。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ