第六十五話 いや〜強そうな奴らが集まったよなぁ
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『ヴェルーナ魔武大会』の前日。
グレイハーツ王国は、普段とは違った活気に満ち溢(あふ)れていた。
特に宿屋は忙しいらしく、どこも一杯である。
もちろん、客のほとんどが大会の参加者達だ。
そして、何と今年の大会は過去最高の参加者数を記録しているらしい。
そのため、予選だけで三日間を費やすとのことだ。
まさに前代未聞である。
前回は参加者数は百十六人。
だが今年はその約十倍の千二百十人である。
思った以上の規模に、誰もが驚いた。
この事実を特に喜んだのはギルバニア王だった。
盛大な祭りごとが大好きな彼は、想像以上の結果に大満足していた。
後は、参加者達が、大会をどう盛り上げてくれるのか、楽しみに観戦するだけだ。
「一気に人口密度が増えたよなぁ」
闘悟は宮殿から街を見下ろしていた。
参加者であろう者が、あちらこちらにいる。
いかにもギルド登録者らしい装いの者達も見かける。
鎧を身に着けている体躯のがっしりしている者が多い。
「はいです。お父様もお喜びなのです」
そう言うクィルも何だか嬉しそうだ。
やはり国が活気づくのが嬉しいのだろう。
「しかし、これは厳しい大会になりそうだな」
ミラニも同様に街を見下ろしながら言う。
だが、言葉とは裏腹に、微かに見える笑みから判断するに、やはり楽しみなのだろう。
「そうなのか?」
「あそこを見てみろ」
ミラニが指を差した方向にいるのは、一つの集団だった。
「あの集団は『黄金の鴉(からす)』だ」
「何それ?」
「有名なギルドパーティだ」
「ふぅん」
ギルドパーティというのは、ギルド内でパーティを結成した者達のことだ。
高ランクの依頼は、ほとんど単独では受けない。
パーティ登録をして、数人とチームを組んで臨むのが普通だ。
だが、依頼が終われば解散するパーティももちろんある。
だが、『黄金の鴉』のように解散せずに、依頼を受け続けるパーティもある。
報酬は分配することになるが、依頼の危険性が減るので、ほとんどの登録者はどこかのパーティに属している。
もちろん個人的に依頼を受けることもできる。
「へぇ、よく見れば鎧の胸元に黄金色の鴉の絵が見えるな」
なるほど、あれが仲間の証ってことか。
「彼らは依頼成功率も高い。個人個人の実力もあると聞いている」
「確かに強そうだ」
「何だか貴様が言うと嫌味にしか聞こえんが?」
あらそう?
でもまあ、屈強そうな奴らであることは確かだ。
纏(まと)ってる雰囲気が学生とは違う。
「他には?」
闘悟は他にも注目すべき人物
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