第三十二話 不安
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価せねばなりませんな。勲章の授与、それでよろしいですかな」
「うむ。双頭鷲武勲章の授与、そういう事になろう」
「となると実際に功を挙げたリューネブルク中将は大将に昇進……」
「当然であろう」
リヒテンラーデ侯とエーレンベルクが話している。
勲章か……、これで二度目だな、有難く頂こう。しかしそれよりもリューネブルクが大将に昇進というのは嬉しい。亡命者が功を挙げて昇進を重ねる、実力さえあれば誰であろうと昇進できるという事だ。彼も苦労してきたからな、喜んでくれるだろう。奴一人昇進では居辛いだろうな。ちょうどいい、こっちに呼び戻す口実に使える。後任者をオフレッサーに依頼するか……。
「改革を進めるには追い風と言って良いの。公の立場がより強まったのじゃから」
リヒテンラーデ侯の言葉にエーレンベルク、シュタインホフが頷いた。二人とも改革の件については既に承知している。改革の内容が穏健な物だった事も有り二人とも反対はしなかった。と言うより積極的に賛成したと言って良い。兵達の殆どが平民だ。彼らの不満を取り除かねば士気が上がらない事を二人は良く分かっている。
「ミューゼル大将がイゼルローン要塞に着いた時点で改革の宣言、実施、それで良いの……」
異議無し、三人の軍人が頷いた。
宇宙暦796年 7月 14日 ハイネセン 統合作戦本部 シドニー・シトレ
執務室のデスクの上にあるTV電話が受信音を発した。ディスプレイに番号が表示されている。アエネアースからだ、どうやら攻略作戦が終了したらしい。キャゼルヌが緊張した面持ちでこちらを見ている。キャゼルヌも結果が気になるのだろう、今日は受信音が鳴る度に緊張している。
受信するとクブルスリー司令長官の顔が映った。表情が暗い、どうやら失敗したか……。溜息が出そうになったが堪えた。
『本部長閣下、残念ですがイゼルローン要塞攻略戦は失敗しました』
「そうか……」
キャゼルヌが天を仰ぐのが見えた。それだけ期待が有ったのだろう。
「それで、失敗の原因は?」
『それが、……帝国軍はこちらの作戦を見破っていたのです』
「見破っていた? それはどういう事かね」
こちらの情報が漏れた? フェザーン経由で帝国に伝わったのか?
『イゼルローン要塞にはヘルマン・フォン・リューネブルク中将が居ました』
「リューネブルク……」
リューネブルク……、まさか、あのリューネブルクか……。愕然とする私にクブルスリー司令長官が苦い表情で言葉を続けた。
『元はローゼンリッターの第十一代連隊長を務めた人物です』
キャゼルヌの呻き声が聞こえた。
「馬鹿な、何故……」
『リューネブルクが言いました、そろそろ追い詰められた同盟軍がイゼルローン要塞を外からではなく内から攻略する事を考え
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