第一章 四話 大海賊ヴァランタイン
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『何だ。』
『ファージ。奴等が宇宙を終わらせる時に送り込む尖兵の名だ。』
『………信じよう。エピタフは持っておけ。』
『いいのか?お前の方が………』
『いや、いい。』
『そうか。』
それから通信は切れ、グランヘイムは遠ざかって行った。
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『………あー、怖かった………』
去って行くグランヘイムを見送りながらゲイケットが安堵の声をあげる。他のクルーも同様である。いきなりトップランカーが現れ、去って行ったのだ。当然の反応だ。
『ゲイケット。惚けてないで仕事しろ。』
『あ、ああ………ところで艦長、ヴァランタインとなにを話したんだ?あの大海賊が引き返すなんて、よほどだぞ?』
『お前にも話せない事はある。今は我慢してくれ。』
『む………分かった。』
納得はしていないようだが、今は仕事に集中すべきだ。マゼラニックストリームの中継地点、カシュケントはもうすぐだが、油断大敵とよく言う。
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『艦長。』
『ン?どうした?』
艦長室へ向かう白野をユニコーンの船医、アンヌ・ジャン・エーヴァが呼び止めた。
『カシュケントに着いたら補給してもらいたい薬剤があるのだが。』
そう言って補給対象のリストを渡してくる。
『ふむ………ビタミン剤、抗生物質、胃薬、船酔い止め、各種ワクチン………分かった。バウトに話しを通しておく。………しかし、君はあまり動揺していないな?先程までグランヘイムがいたというのに。』
『特に気にはしない。』
豪胆な女性である。
皆、マゼラニックストリームに突入してからかなり忙しい。こういう時のために艦長という雑用係が役に立つのだ。
白野は進路を艦長室から事務室に変更した。
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マゼラニックストリーム突入からはや二日。ようやく中継地点、カシュケントが見えてきた。
カシュケント。大マゼラン、小マゼランのあらゆる物資が集結する交易の中心地である。
ここで手に入らないものは寿命だけとも言われている。
さて、白野たちはこの地でなにを見つけるのか………
続く
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