プロローグ
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前世――、それは死した命が輪廻の輪を潜り、転生して尚その魂に刻みこんだ記憶。
人は誰しも前世を持っている。しかし、それは簡単に思い出せるものではない。
なぜなら輪廻の輪を潜るとき、この世の罪業とともに記憶を塗り潰すのだから。この過程を行わない限り、魂は穢れたままであり、転生した命は必ず壮絶な不運を遂げる。
記憶は消えたわけではない。魂の根底にはしっかりと生前の記憶が刻まれている。
転生というのは魂を一度水で洗い流し、刻まれた記憶の上から真っ白なインクを何重も塗り潰す行為だ。そのため、前世の記憶というのは思い出し難いだけであって忘れ去られたわけではない。
だが、どれほどの人間が前世の記憶を覚えているだろうか。
万に一人?
億に一人
それとも兆か、はたまた京か。
まあ、どちらにせよ、前世の記憶を持っている人はごくごく少数ということだ。
そして、この俺はそんな少数に分類される。
前世の記憶は正直思い出したくない。幸せだったとは到底言えない人生だったからだ。
かといって目を覆いたくなるような不幸な人生でもない。よく聞くような面白みのない人生だ。
しかし、俺は転生した。第二の人生を――本当はもっとあるんだろけど――送ることになったのだ!
……なったのだ、と過去形で行っているが、実際には再誕してから一万年あまりの月日が流れていたりする。
もちろん、この膨大な頭が禿げそうな年月からして人間に転生したわけではない。
かといって、寿命が万もあると言われていたと思うなんとかという亀でもなければ、鶴のような鳥でもない。
というか、生物に分類できるか疑問だ。
はい、俺……神様やってます。
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