Episode 3 デリバリー始めました
テンチャークエスト
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
門でしかない食材のスープを、そのおいしそうな香りにつられうっかり口にしてしまい、トイレの便座を御共にして地獄の一丁目から三丁目を旅した出来事は記憶に新しい。
まぁ、その前に毒である蟹を知らずにたらふく食べていたので、結果は変わっていなかったかもしれないが。
ただ、毒だとわかっていてもついつい手を出してしまうほど美味なキシリアの料理は、至上の快楽であるのと同時に悪魔のような罠である。
まぁ、一応は死なない程度に手加減はされているのだが、……そんな恐ろしい魔具を笑顔で作り上げるキシリアのことを、ケットシーたちは裏でこっそり"魔女"と呼んでいた。
――そういえば、このおっかない鳥にも何か毒となるような食べ物があるのだろうか?
そんな益体もない事を考えながら、ポメは考え事をするためにちょうどいい場所探して視線をめぐらす。
あ、あれがいいニャ!
視界の隅にちょうど20メートル近い巨木を見つけたポメは、その近くの木の幹を蹴って三角飛びの要領でさらに大きな木の上に飛び上がった。
さらに蛇が這い上がるがごときスピードで天辺近くに這い上がると、枝の一つにチョコンと腰をかける。
「さてと、作戦タイムだニャ」
さすがに木を登ることは出来ないのか、テンチャーはポメのいる枝を見上げ、グルグルと喉を鳴らして威嚇をはじめた。
だが、伸ばされた舌も、さすがにここまでは届かない。
しかし、おそらく長く時間は取れないだろう。
ヤツの目は、諦めた者の目ではなく、何か別の手段を講じている時の目だ。
いずれ何か別の手を使ってくることはわかりきったことだった。
だが、その前に――
「さぁ、全てをさらけ出すといいニャ」
そう告げると、ポメは自らの目に理力を集中させ、眼下をうろつくテンチャーを"視る"。
使うのは、暗殺者系の理力の一つ『隙窺う眼』。
相手の体の構造を読み取り、急所を感じ取る能力である。
「ふぅん……とりあえず体の前面にある急所はほとんど手の届かない場所にあるニャ。 とりあえず一番の弱点は、目か。 なんと厄介ニャ……って」
ズズン!
分析を終えたポメの体が、突然激しい音と共に大きく揺さぶられる。
「あー こりゃまいったニャ」
下を見れば、テンチャーがその巨体と怪力を活かしてポメの登っている樹木に体当たりをしているところだった。
一度の体当たりで倒れないと見るや、テンチャーは一度後ろに下がって助走をつけると。さらにもう一度体当たり。
ポメの鋭敏な耳に、メリメリと樹木が悲鳴を上げる音が聞こえた。
――何という馬鹿力!
おそらく、もってあと数回。
樹木の倒壊に巻き込まれれば、大小の枝に動きを阻まれて、受身をとることもできずに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ