第二十六話 江田島へその十二
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「働いてるだけましだけれどね」
「何か先生も大変なんだな」
「相当ストレス溜まってるみたいね」
生徒達は先生の愚痴を耳にしながらこのことを実感した、真面目な教師はストレスが溜まるものだ、暴力教師やおかしい教師も多いがだ。
先生が愚痴を言う中でだった、琴乃達はというと。
フェリーの縁側にいた、そこで海を見ていた。
美優は船が進む瀬戸内海を見ながら言った。
「ねえ、何か神戸の海よりもね」
「綺麗っていうの?」
「何か違うわよね」
こう景子に言ったのである、晴れやかな笑顔で。
「同じ瀬戸内海でもね」
「神戸より暑いせいかしら」
景子は上を見上げた、空は雲一つない快晴だ。黄金の太陽が実に眩しい。
「瀬戸内気候でね」
「ここって映画の舞台にもなってるわよね」
「そうそう、瀬戸内少年野球団ね」
今は亡き夏目雅子主演の作品である。
「それね」
「それの舞台だったわよね」
「そう、凄く気持ちのいい場所で野球してたわよね」
輝かしい日光の下でだったのだ。
「ああいう感じでね」
「だからなのね」
「そう、日差しもいいのよ」
そうだというのだ。
「神戸と比べてね」
「後あれよね」
琴乃は濃いマリンブルーの海とその上にあるスカイブルーの空を見ながら言う、二色の青がそれそれある。
「六甲おろしがないから」
「あれね」
「神戸はいつも山があってね」
それでなのだ。
「後ろから風が来るから」
「あれで夏は涼しいけれどね」
「まあ冬は寒いけれどね」
「あれがあるから」
それでだった。
「神戸は涼しいのよね」
「瀬戸内ってそういえば」
景子は呉駅に降りてからふと言った。
「風はあまりないわね」
「神戸よりも少ないみたいね」
「そうよね」
こう言うのだった。
「だから同じ瀬戸内でもなのね」
「そう、ここはまた別よ」
「何か熱帯っていうかね」
そこまではいかなくともだというのだ。
「気持ちのいい場所よね」
「暑いけれどね」
「けれどここの暑さってね」
彩夏は海と空の先を見ていた、そこで二色の青が合わさっているかというと白くなっている様に見えている。
「あっさりしてるからね」
「だよな、大阪の暑さと比べたらな」
どうかとだ、美優が言う。
「本当にあっさりしてるよな」
「大阪の暑さってべたべたしてるわよね」
「ずっとな」
瀬戸内よりもだというのだ。
「大阪ってきついよな、あのべったりとした暑さってな」
「大阪はいい街だけれどね」
地上の楽園と言っていい、北朝鮮なぞ比べるまでもない。
「それでもあの暑さはね」
「辛いからね」
「ここはあっさりしてるよな、本当に」
「何か海軍がここに学校を置いたのって」
「気候的な理由があるのか
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