第二十六話 江田島へその九
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「痛くなるししかも後でシミ、ソバカスの原因になるのよ」
「切実なお話ね」
「かなりね」
母の娘への言葉はかなり切実である、十六の娘がいるだけの歳になるともうそれだけでだというのである。
「なるから」
「二十五からってそれからが長いんじゃないの?」
「かなり長いわよ」
「そうよね、それでもなの」
「そう、その長い間はね」
日差しをさらに警戒しなければならないというのだ、若い頃よりも。
「お母さんもいつも夏はサングラスでしょ」
「それと帽子よね」
「薄いけれど長袖でね」
「しかも服の色白よね」
これは海軍、海上自衛隊と同じだ。
「それよね」
「夏は白よ、白に限るわ」
「下着の色とか透けても?」
「そこはちゃんとしてよ」
その白い服に合わせた下着の色にするというのだ、即ち白にだ。
「海上自衛隊だってそうしてるでしょ」
「あっ、そうなの」
「そう、白い制服の時は白い下着なの」
白いトランクス等だ、売店で売っている。
「それを着てるのよ」
「白なのね」
「そう、白だから」
それでだというのだ。
「合わせたら透けないのよ」
「だからお母さん夏はいつも下着は白なの」
「服に合わせてね」
「ブラはね」
「下はともかくね」
ジーンズ等だ、家ではジャージのことも多い。
「上はそうしてるわ」
「けれど上のブラが白なら」
「下着の色は上下ちゃんと合わせるの」
母の今の言葉はぴしゃりとしたものだった。
「絶対にね」
「それも大事よね」
「それはお洒落の第一歩よ」
「下着からはじまるっていうわよね」
「そう、だからね」
「私も下着はブラとショーツを合わせて」
母の教え通りそうしているのだ。
「ちゃんとね」
「そうでしょ、だからね」
「下着は合わせて」
「そう、上下揃えなさいっていつも言ってるわよね」
「下着って上下セットだし」
ブラとショーツがだ、女性用下着の特徴である。
「だから上が白だろ」
「下もよ」
必然的に白になるというのだ。
「そうしてね」
「うん、私もね」
「下着のこともいいけれどとにかくね」
「ええ、日焼け対策は忘れないから」
痛くならない為に、そしてシミやソバカスを作らない為に。
「持って行くわね」
「そうして楽しんできなさい」
今回の合宿をというのだ。母と娘でこうした話をしてだった。
琴乃達軽音楽部は八条鉄道の特急で広島まで来た、そこまで一直線だった。
広島から今度は呉に行く、その呉駅に降りた時に。
制服姿の琴乃は同じくそれぞれの制服姿の四人にこう言った。
「八条鉄道って本当に便利よね」
「日本全国に通ってるからね」
彩夏が答える。
「だから神戸から広島にも一直線だし」
「新幹線使わなくてもね」
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