第二十二話
[8]前話 [2]次話
第二十二話 やっとそこに
ケムンパスはワラビを連れて目的地まで来た、そこは華奈子と美奈子の家の前だった。その玄関のところに来てだ。
ケムンパスはその相棒の娘に言った。
「いい?ワラビ」
「どんな怖い子が出て来ても?」
「怖がったら駄目よ」
「わかってるけれど」
「あんたは大丈夫だから」
自分の隣でお座りの姿勢で礼儀正しく座っているワラビに話す。見ればケムンパスは今も四本足で立っている。
「その大きさだから」
「ドーベルマンが出て来ても?}
「大きさ変わらないじゃない」
確かにワラビは大きい、大型犬の中でもかなりだ。
「むしろあんた骨格も身体つきもしっかりしてるから」
「ブリアードだからっていうのね」
「そう、ブリアードって軍用犬だったこともあるんでしょ」
「それはね」
その通りだろ返すワラビだった。
「そうだけれど」
「じゃあどうしてドーベルマン怖がるのよ」
「だってすぐに吠えて噛もうとして怖いから」
ワラビはそのドーベルマン達のことを思い出して震えながら言う。
「だからね」
「ドーベルマンなんて跳んで背中に乗ってしまえばそれでもう何の手出しも出来ないじゃない、魔法が使えないのならね」
「使い魔のドーベルマンだったらどうするの?」
魔法が使えるならというのだ。
「そうだったら」
「ドーベルマンの使い魔なんて普通いないわよ」
「そうなの?」
「あれは警察犬か軍用犬じゃない、シェパードもそうだけれど」
ブリアードも軍用犬だがそれでもだというのだ。
「軍人と魔法使いはまた別だから」
「出て来ないのね」
「使い魔で出て来てもあんたの魔力と力なら大丈夫よ」
「本当に?」
「あんたの魔力は私と同じ位で身体はずっと大きいのよ」
それならばだというのだ。
「大抵の相手なら大丈夫よ、数出て来てもね」
「それでも?」
「私とあんたがいるならね。ただ私の名前はね」
ケムンパスは自分の名前については微妙な顔になってこう言った。
「ご主人のお父さんにも困ったものよね」
「私はお母さんにつけてもらったけれど」
「何であの人ってネーミングセンスないのかしら」
「普通猫にケムンパスはないわよね」
「滅多にないわよ」
名前のことはあまり好きでないケムンパスだった、そうした話をしながら家から相手が出て来るのを待っていた。
第二十二話 完
2013・3・25
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ