第9話 Side渚
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、シスターの服は目立つので、兄さんとアーシアさんたちをすぐに見つけることができた。
「どうやら、昼食を食べるようですね。時間も時間ですし、僕たちもごはんを食べましょうか」
とりあえず、兄さんたちの入ったハンバーガーショップの前にある喫茶店に入る。なかなか、いい雰囲気の喫茶店だ。
幸い兄さんたちは窓際に座っていたので、こちらから見ることができた。僕たちはランチセットを頼んで食べている。サンドウィッチ・サラダ・スープにコーヒーがついていて、なかなかお得なランチセットである。
「アーシアさん、ハンバーガーすごくおいしそうに食べていますね」
「ええ、見ていて微笑ましいですわ」
最初は緊張していたみたいだが、慣れたのかいつもの朱乃先輩になっていた。
兄さんがハンバーガーの食べ方を説明するような仕草をしていたから、アーシアさんはハンバーガーを食べたことがなかったんだろう。・・・・・・・・教会でハンバーガーを食べているシスターの姿なんて想像できないから、当たり前と言ったら当たり前だろうけど・・・・。
しばらく、雑談をしながら兄さんたちを見ていると、どうやら席を立つようだった。
「行きましょう」
「ええ」
僕たちも席から立ってお会計をしようとする。朱乃先輩がお財布を出そうとしていたので、僕はそれをやめさせた。
「僕が払うからいいですよ」
「それは悪いですわ」
「こういう時は、男が払うものですよ」
肩をすくめながら言って、僕は強引にお金を払って、喫茶店を出た。
「本当によかったんですか?」
「いいって言ってるでしょう。朱乃先輩は気にしないでください」
朱乃先輩に、気にしないように言う。ふと兄さんとアーシアさんの方を見ると、兄さんがこちらの方を振り返ってきた。
「――っと」
「きゃ!」
兄さんがとこちらの方を向いたので朱乃先輩を抱き寄せて、看板の後ろに隠れる。周りの人は何事かと見てくるが、愛想笑いで誤魔化しておいた。
「行ったみたいですね」
「え、ええ」
兄さんがこちらから視線を外したので、朱乃先輩を離す。朱乃先輩は真っ赤になっていた。
「すみません。急に抱き寄せたりして・・・・・・嫌でしたよね」
「だ、大丈夫です。別に嫌ではなかったですから」
顔をうつむかせながら、朱乃先輩はそう言った。
「あ、そ、そうですか・・・・・・・・」
嫌ではなかった、か。なんかちょっとうれしい気がするが恥ずかしい。
「おっと、兄さんたちを見失います。急ぎましょう」
「わかりましたわ」
そして、兄さんたちを追ってゲームセンターに入るまで、僕たちは恥ずかしさで終始無言だった。
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