種族魔法使いと門番
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意味のない無駄話にも付き合った。無視しているのにひたすらに喋りかけてくるのに根負けした。
長いこと外を巡ってきた彼女。自分の知らない知識を教えられることもあった。それが悔しくて、彼女が知らない事を意地悪な笑み聞くこともあった。
気づいたら、自分から時を動かしていた。
次に来るのはいつか。どんな知識をぶつけてやろうか。
『次』を楽しみにし始めた。
止まった時間が動く瞬間。続く世界。不定期なはずのそれが、『日課』になり始めた。
私の『世界』に、当然のように彼女が動き回っていた。
なんとも、馬鹿らしい話だ。
…
……
………
一冊の本を読み終え、パチュリーはそれを閉じる。
自分を書くむいくつもの山。左側の山は読んだ本、右はこれから読む本。左がまた、一段高くなる。
右が一段減り、ふと疑問が走る。やけに静かだ。
ずらした視界の先。すぐ近くの山に寄りかかるようにして彼女が眠っていた。
帽子を顔に載せ、本を枕に。ベッドは乱雑に散らばった本。
手を伸ばせば帽子を取れる。そんな距離。
どうりで静かなわけだ。勝手に押しかけて勝手に世界を動かし、勝手に止める。何とも自由な事だ。
きっと彼女にそんな気はない。いつも好きなように動いているだけ。正直だけだ
仲がいいのかと聞かれればノーと首を横に振る。
好きかと聞かれてもまた同じ。嫌いかと聞かれれば変わらず横に。
友情でなく、さりとて愛情でなく。
そんな『知り合い』の事の寝姿を見る。次第に、眠気が自分にも襲ってくる。決して、嫌いではない。
眠い眼で見る彼女の姿。自分を誘う姿。
感じていなかったはずの欠落が埋まる感覚。自分の世界が、過不足なくある実感。奇妙な安らぎ。
閉じていく視界。彼女が誘う微睡みの世界。
落ちていく思考の中、思う。
止まった世界よりも、この微睡みの時間が私、パチュリー・ノーレッジは好きだと。
…
……
小さな寝息が二つ、緩やかに流れる時間の中で重なっていた。
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