第二話:惑星クレイへ
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たので、俺はてっきりクレイに行くのは失敗したのだと思った。
けれど、目を開けてすぐに見えた風景はログハウスではなく、いかつい見た目の大きな門と頑丈そうなコンクリートの壁。
「おはよう、そしてようこそ惑星クレイへ」
白をベースに金色のラインの入った学ランを着た一宮だった。
「ここが……惑星クレイ」
思ったよりも近代的だな、と呟くと、一宮は首を横に振った。
「ここはスターゲートだからね。国家によってだいぶ違う印象を受けると思うよ
あ、くれぐれも手を放そうとしないでね」
「なんでだ?」
「簡単に言うと、戻れなくなるから」
いつもよりも低い声にぞっとする。
「早く行こう。時間はいくらあっても足りないし、会いたくない人もいるし」
「それは、誰のことかな?」
突然降ってきた声に、一宮は舌打ちをしてから視線を門の上に向ける。
追うように顔を上げると、鮮やかなオレンジの長い髪の毛を揺らして門に座っている女がいた。
悪戯っ子のような笑みを浮かべると、彼女は俺達の元へ降り立つ。
「こんにちは、そして初めましてだね。
私はノヴァグラップラーの先導者、誘 リンネ。これからよろしくね♪」
一宮は露骨に嫌な顔をするが、とりあえず挨拶を返す。
「どうも、俺は……」
「皆まで言う必要は無いさ。石田ナオキ君、でしょ?宮路学園高等部1−A、先導アイチの影響でヴァンガードを始めて、現在はカードファイト部に所属。根っからの『なるかみ』使いで、抹消者が主軸かな。んで……」
「相変わらず、他人の情報を荒らすことが好きなんだね、君は」
一度も会ったことのない人に自分のことを次々に言われて混乱していると、一宮が溜息混じりに呟く。
誘は一度大きく目を見開き、それから一層楽しそうに唇を歪ませる。
「荒らすだなんてとんでもない!私は私自身のちょーっとした情報網で 偶・然 ナオキ君のことを知っただけさ。それに、君の事は何一つわかってないからいいでしょ?」
一宮は歯ぎしりをして誘を睨む。この二人には相当な因縁があるのかも、とさっきの一宮の発言を思い出しながら考えた。
「いい悪いの問題じゃない。それって相当悪趣味なことだって早く気づいた方がいいよ?」
「残念、私はとっくに気づいてるよ。直す気が無いだけー」
唐突に誘は俺を見遣る。
そして一気に距離を詰めたかと思うと俺の手を女と思えないような強さで引っ張られ、視界が黒く染まる。
抱き寄せられ、顔をたゆんたゆんの胸に押し付けられているとわかるのに、俺は数秒要した。
というか俺の方が身長低かったのに今気づいた。
「い、誘!な、何をして……!」
「ナオキ君を抱いてる。いー君も一回やってみなよ、割と抱き心地いいぞ〜?」
誘の笑い声が、体を通して頭に響いてくる。
なんか、とても幸せに感
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